赤いろうそくと人魚

著者 :
  • 2012年10月7日発売
3.43
  • (5)
  • (10)
  • (19)
  • (2)
  • (1)
本棚登録 : 120
感想 : 15
4

 我が子には、寂しい海ではなく優しい人間に育てられて幸せになって欲しいと勝手な期待をした人魚と神社に捧げる蝋燭を売る蝋燭屋に預けられた人魚の子どもの物語。
 人魚の子には容姿を含め人を引き付けることができるような不思議な能力があり、それにより人間の身勝手さにひたすら振り回されていた。ある意味では、生まれる前からさえ元凶を作った母の人魚にも振り回されていたと言えるかもしれない。最終的には、人魚の子の最後に作った赤い蝋燭を母の人魚が使うことで人間に復讐するという形になるのだが、とことん人魚の子が可哀想な話だった。
 結局のところ、誰一人として人魚の子を理解する者はおらず、そうでなくても人魚の子を育てたお爺さんお婆さんが香具師の思惑を見抜けなかったように、また母の人魚が勝手な期待を人間に抱いていたように、どんなに近くに居たり相手のことを思っていたとしてもお互いのことを本当に理解することなんてできないと思い知らされた。
 もしかしたら、人魚の子が絵を描いた蝋燭の燃えさしを持っている船が航海中に安全だったのは母の人魚が守っていたのではないかとも思ったが、それも勝手な期待にすぎないのかもしれない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年10月4日
読了日 : 2023年10月4日
本棚登録日 : 2023年10月4日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする