この巻ではスペンサーとスーザンの仲も一歩進展している。まだ結婚という常識に縛られて苦しむスーザンと、マイペースながらスーザンの気持ちを思いやる余裕もあるスペンサー。こういうところがかっこいいんである・・・(笑)。どうやらこの巻で、2人はそれなりの関係を確立し、位置関係をしっかりと定めたようである。前巻では、まだスペンサー、二股かけてたし(笑)。
ベトナム戦争が吹き荒れた60年代から70年代初期にかけては、アメリカでもずいぶんと過激にブラックパンサーや大学での「革命」をうたう若者達などがおり、今のアメリカならテロリストとして処刑されかねないようなこともけっこう起きていたようだ。この中でも、男性の抑圧から解放されるためには目には目を!と反体制なんだか反男性なんだかよくわからないフェミニストたちが登場する。
スペンサーは女性を尊重するけれど、こういうラジカルな人々には同情はほとんどしない。その辺が面白くもあるし、興味深くもある。また、今回も美味しそうなゴハンがたくさん出てくる。料理シーンもレストランシーンも両方あり、ニューイングランドのシーフードなども、なじみがあるだけに面白い。
スペンサーは今回智謀をめぐらして、夫と妻両方の問題を一石二鳥の知恵で解決する。そしてスペンサーのアドバイスで、この夫婦も少し希望が仄見えるようだった。ホークとの数回の対決でも、2人の微妙な友情が感じられ、敵味方の立場であったにも関わらず、お互いに見せる尊敬と仲間意識に思わずニヤリとする。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
ミステリー
- 感想投稿日 : 2010年4月21日
- 読了日 : 2010年3月26日
- 本棚登録日 : 2010年3月26日
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