静寂の技法 最良の人生を導く「静けさ」の力

  • 東洋経済新報社 (2023年9月6日発売)
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空白を意味のない会話で埋めてくる人を鬱陶しいと思ったことはないだろうか。質問の答えを考えている間に、重ねて何か言ってくる人にちょっと黙ってほしいと思ったことは。私はある。
質問の後に訪れる短い沈黙、会話の途中の少考で生じる静寂、本書ではそういう「間」が日本独特の文化として紹介されている。著者はその初感を”文化的な奇行”とまで書いているが、それは自身が育ってきた文化によって条件づけられた”空白を埋めたいという衝動”があるからだと言う。アメリカでは内向型の人はさぞ生きにくいであろう。

私たちの日常は騒音に溢れている。スマホやSNSの発達で常にオンラインでいることが当たり前になって、少しでも目を離すと何かを見逃したような気持ちになり、レスポンスが遅いとできないやつだと思われる。情報は増えても、それを処理する人間の能力は上がらないと言うのに。
さらに、騒音は外部に留まらない。”自分自身について自分に対して語るのをやめる”必要がある。

静寂の見つけ方として、瞑想、運動、自然の中で過ごす、無言の日を作る等々、具体的な方法が紹介されている。もっと簡単にできることは、次の行動に移る前にゆっくりと3回呼吸してみる、コーヒーを淹れる動作を儀式のように集中して優雅にやってみる等、余裕がないときこそ実践してみたいと思う。

その他、印象に残ったフレーズ
「早起きの人と夜更かしの人は正反対と思われがちだが、両者はともに、1日のうちの静かな時間帯、外部からの要求がない時間帯の真価を理解している」
「休息は贅沢だとか特権だとか言うのをやめる」
「騒音のコストの1つは、人生で何が重要かがよくわからなくなること」
「静寂の時間を許せば、部屋の奥のほうのおとなしい子どもや、ディナーの食卓のおとなしい子どもも、発言する余地を見つけられます」

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2024年4月14日
読了日 : 2024年4月6日
本棚登録日 : 2024年4月6日

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