ルーマニア賛歌―Europe of Europe

  • 平凡社 (2002年4月1日発売)
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写真集としては、観光ブックの写真レベルだが、撮された人々は特筆に値する。
小さな村で生まれて、おそらくはそのまま年をとり死んでいく人生。
先祖たちの生活や信念を、疑問の欠片すら抱くことなく継承できる無邪気で尊い単純さ。
きっと、神が否定され得る存在だということすら知らないのだろう。
先進国の都会に生まれ育った人間が、何もかもをなげうち出家して人生を捧げても、届かない。そんな境地を生まれたときから約束されているように見える。

私が多様な価値観を知り続け、理解に勉めるのは、生まれ落ちた場所が要求する義務だ。その義務を果たさずには、生きていられない。でも、不可能なことをしようとしているんじゃないか?しようとしてるポーズをとっているだけじゃないか?自分を信じられる時間より、自分を疑う時間の方が、きっと、ずっと長い…。

私が決して届かない幸福のひとつが、この写真集の中にある。穏やかで汚れのない幸福だ。私は彼らの幸福がこの世にあることを喜んで、私なりの幸せの可能性を探ろう。

2002 ルーマニア

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2015年3月15日
読了日 : 2015年3月15日
本棚登録日 : 2015年3月15日

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