オノマトペがあるから日本語は楽しい―擬音語・擬態語の豊かな世界 (平凡社新書)

著者 :
  • 平凡社 (2009年7月1日発売)
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感想 : 23
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オノマトペって単語、この本を読むまでは、てっきり著者が自分の名前をもじって創作したんだって思ってた。だって、著者名の小野正弘とオノマまで一緒でしょ?
実際は、語源は仏語、英語ではonomatopoeia、さかのぼれば古代ギリシア語に行き当たり、名前を造ることという意味だったそうだ。

著者が生まれて初めてオノマトペって単語を見たとき、どう感じたのだろう? 自分の名前との共通性に気付き、ピーンときたんかな?それとも、ズドーンてな感じ?
いや意外にもシュボッていうふうに頭の中に明かりが灯るような感じだったかもしれない。
この「シュボッ」もバカにしてはいけない。この本では豊かで情感あふれる語意をもつオノマトペの代表例として登場する。つまり、ゴルゴ13が葉巻にライターで火をつけるときの音なのだが、それだけではない。機械のように正確なスナイパーのゴルゴの登場シーンには、余計なセリフは不要、シュボッだけで、読者にゴルゴ登場を認識させ、印象づけることができる。さらに著者はそれ以外にもこのシュボッから、ライターの質感や、ゴルゴ特有のダンディズムまで読もうとする。
面白そうでしょ?「日本語オノマトペ辞典」の編者としての、いわゆる堅い学究的仕事の一方で、こんな柔らかくて、読んで楽しい本を出してくれるなんて。

あと、私がこの本を読み終えて思いついたオノマトペに、「てふてふ」がある。これは「ちょうちょう」と読む。あの蝶々のこと。「てふてふが一匹韃靼海峡を渡つて行つた」(安西冬衛)の「てふてふ」。昆虫の名前として知られているものが、実は羽根をゆらゆらさせながら飛びまわる様を表したオノマトペが語源なんじゃないの?って思えるようになった。現在の「ちょうちょう」はやや語感が強いけど、「てふてふ」という表記は、まさに蝶の飛ぶ様にぴったり。

…などなど、身近な日本語を題材に想像力がふくらむし、ウンチク本としてもすごく役立つと思うよ。(さすがにこの蘊蓄はオノマトペじゃないか。語感はそんな感じなんだけどね。)
(2012/8/31)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2015年11月8日
読了日 : 2012年8月31日
本棚登録日 : 2015年11月8日

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