赤色エレジー (小学館文庫)

著者 :
  • 小学館 (2000年7月15日発売)
3.63
  • (28)
  • (21)
  • (59)
  • (4)
  • (1)
本棚登録 : 342
感想 : 26
5

◆Twitterで漫画家の江口寿史さんが、〈尊敬する人〉と、イラストの画像付きで紹介しているのを見かけ、そのイラストの美しさに興味を持ち、手に取った。闇のような深い黒にハイライト。省略の美。◆ぐうの音も出なかった。エレジーというのに、私には無音に聴こえた。誰かといる場面でも、眠れないひとりぼっちの夜のようだった。どこかで聞いた当たり前のセリフひとつひとつが存在感をもって胸をえぐる。現状を打開したいのに先が見えない。苦しい。切ない。息ができない。
◆折しも村上龍『限りなく透明に近いブルー』(1976) 読了に続いての読書だったので、象徴的に描かれた蛾や大きな黒い鳥の登場には驚いた(『赤色エレジー』は1970〜71)。時代の不安を表す象徴として興味深い。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: マンガ
感想投稿日 : 2015年6月4日
読了日 : 2015年6月4日
本棚登録日 : 2015年6月3日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする