問いつめられたパパとママの本 (新潮文庫 い 80-3)

著者 :
  • 新潮社 (2005年3月1日発売)
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感想 : 24
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赤チャンハドコカラクルノ?空ハナゼ青イノ?
ナゼオ月サマハボクガ歩クト追ッカケテクルノ?
四次元ノ世界ッテナアニ?
ママハイツモオ化粧シテルノニドウシテ肌ガアレテルノ?
当たり前のことだと思っているけれど
いざ聞かれるとどうしてなのか答えられない、
そんな子供からの想定質問集に
伊丹さんがわかりやすくユーモアたっぷりに答えてくれました。
カバー装画:伊丹十三

ほぼ日の伊丹十三特集(http://www.1101.com/itami/index.html)で
伊丹さんのことを知ったのがきっかけで読んでみました。
そして本当にこの人は万能型の人だと実感。
文章はもちろん物理学の知識とか画才だとか
この1冊だけでもその多才ぶりが詰まっています。
普段疑問に思わないようなことでも原理を知らないことって本当に多くて。

風が吹いて涼しいと感じるのは
皮膚に接している飽和状態に近い空気が飛ばされて
乾燥した空気に入れ替わることで
皮膚からの水分蒸発が盛んになって気化熱を奪われるから。
物質が濡れるためには
イオンからできているか、分子の中にプラス・マイナスの電気の片寄りのある
極性結合を持っているか、外から電力が近づくと電気の片寄りを起こすものか、
のうちの一つに属さなければならない。
物が燃えるためには
燃料が存在すること、燃料が発火点以上の温度に達すること、酸素の存在
が必要不可欠となっている。

しかしこれを子供にどう説明するかというのはだいぶ難しいんではないか。
たとえうまく説明しきれなくても好奇心の芽を摘むことはしたくない。
そこからが問いつめられたパパとママの腕の見せ所なのかも。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ア行
感想投稿日 : 2010年12月18日
読了日 : 2010年5月9日
本棚登録日 : 2010年12月18日

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コメント 1件

猫丸(nyancomaru)さんのコメント
2012/08/29

「この1冊だけでもその多才ぶりが」
伊丹十三のエッセイは、エッセイの見本ですね。切り口のヒントとしていつも身近に置いています。。。

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