大学講義の改革: BRD(当日レポ-ト方式)の提案

著者 :
  • 北大路書房 (2005年6月1日発売)
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05-06-27
筆者は、南山大学総合政策学部教授で、教育学が専門です。

 BRD(the Brief Report of the Day)方式とは、大学の授業90分を次の4段階で進める、筆者が考案した講義手順です。



?確認 5分 (学生)今日のテーマを確かめる。(教師)テーマを板書する。 ?構想 20分 (学生)テキストなどを参考にして考える。(教師)机間巡視をする。
?情報収集 45分 (学生)教師の授業を聞いたり、他の学生の構想を知る。(教師)ポイントを説明する。発問、指名など。
?執筆 20分 (学生)疑問点を質問する。A4紙1枚のレポートを完成し、提出する。(教師)机間巡視をする。レポートを受理する。


 例えば、こんな感じで授業は進められます。

 まずは、今日の学習課題の確認。当日のレポートのテーマは「なぜ一斉指導なのか」。「一斉指導の目的や特徴を説明できるようになる」という講義のねらいが教師から示されます。構想では、学生はテキストなどをもとに、レポートの構想を練ります。この過程により、予習的な要素が入り、次の学生による情報収集がスムーズに行えます。情報収集では、教師が伝統的な方法で、今日のレポートにかかわる講義を行います。最後に、テキストや講義をもとに、「なぜ一斉指導を行うのか」という理由を、学生がA4紙1枚のレポートに仕上げます。



 BRD方式では、学生は授業でレポートを書き上げる人です。教師は、学生がレポートを書くための支援者です。また、教室は、学生が自己責任でレポートを書く場とされます。従来の大学での授業観である「教師が学生に一方的に教えるという営み」が180°転換されます。また、この方式を用いると私語が激減するそうです。大学関係者には朗報でしょうか。



 自ら考案した授業方式(BRD方式)を一冊の本にまとめるなんて、すごい。これまでの授業改革の様々な取組と比較して、考察もしています。「仮説実験授業」や「朝の読書」まで引き合いに出すなんて、少し笑ってしまいました(^_^)。

 新しい授業づくりを模索している人だけではなく、ユニーク発想を知りたい方にもおすすめです。

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 教育
感想投稿日 : 2007年1月6日
本棚登録日 : 2007年1月6日

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