3M・未来を拓くイノベーション

制作 : 講談社インターナショナル 
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感想 : 3
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 本書を始めて読んだのは10年以上前になるが、その時は3Mという会社の企業文化に強い感銘を受けたのを覚えている。その後、自分自身のマネジメントに関する知識や経験も増え、改めて本書を読み返してみた。
 「ビジョナリー・カンパニー」として知られている3Mも、さすがに昨今の経済情勢下ではいろいろと苦戦しているようだが、同社の先駆的なR&Dマネジメントには学ぶべきものが多い。今では広く一般に用いられる「15%ルール」や「テクノロジープラットフォーム」等の用語や概念も同社発のものである。ただし、本書が執筆されたのは1999年であり、内容的にはやや古い。3Mは2001年に初めて社外からCEOを迎えて企業変革を行っており、現在はよりR&Dにスピードが求められるようになっている。最新の3Mの状況が知りたければ他の著作を当たる方がいいだろう。
 3Mに関する著作は日本語でも多数出版されているが、本書の特徴は米国のコンサルタントであるガンドリング氏と日本のコンサルタントである賀川氏の共著であることだろう。3M独特の企業文化についてもよく分析されているが、米国の3Mと日本の住友3Mの両面からアプローチすることで、海外子会社への企業文化の継承について詳細に説明されている。
 7重苦とも言われる日本の経済環境の下で多くの製造業は海外移転を進めているが、今でも販社や工場といった営業・製造段階にとどまり、R&D機能まで海外移転を進めている会社はまだ多くはない。しかし、日本の少子化・理科離れ等の社会情勢を考慮すれば、近い将来に日本の製造業も海外でR&D活動を強化せざるを得ない。非定型業務であるR&D活動を、言葉も文化も異なる海外子会社と連携していくことは容易ではないが、そんな時に本書は大いに参考になるだろう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 経営
感想投稿日 : 2012年8月26日
読了日 : 2012年8月26日
本棚登録日 : 2012年8月26日

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