日本国民に告ぐ: 誇りなき国家は、滅亡する

著者 :
  • ワック (2005年12月1日発売)
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感想 : 16
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 「知の巨人」とも称される小室氏は人文・社会科学分野で高い学識をもち、多数の著作を残している。著作の中には「~原論」と題するものが多いが、それに倣えば本書は「現代日本原論」とも言えるだろう。
 「日本国民に告ぐ」というセンセーショナルな表題は憂国の書にありがちではあるが、小室氏の主張は単なるイデオロギー論ではなく、人文・社会科学に基づく論理展開を伴っていることが特徴である。
 本書は1996年に出版された同名の書を改定したものであるが、その内容は当時よりも安倍政権下の現在の方がより重みを増している。教科書問題、従軍慰安婦問題等を切り口に日本人の歴史認識がどのように形成されてきたかを分かりやすく解説している。そして、その内容が分かりやすいだけに、保守でも革新でもない多くの平均的な日本人は、少なからずショックを受けるだろう。自分がそうであったように。
 そのうえで小室氏の指摘をどのように受け止めるかは読者の判断であるが、おそらく1996年当時よりも現代の方が共感できる人が多いのではないだろうか?約20年の間に小室氏の指摘の多くが現実の問題となっているからである。とりわけ、日本のマスコミがもたらしている弊害は、SNSの発達により明らかになりつつある。
 本書は小室氏の著作の中でも代表作と呼ぶにふさわしい一冊だが、小室氏の著作に免疫のない方には先に「日本人のための憲法原論」を読むことを薦めたい。この2冊をセットで読むとより理解が深まるだろう。
 今、本書を人に薦めると安倍政権支持と受け止められるかもしれないが、政治的なイデオロギー抜きにして多くの人に薦めたい一冊である。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 社会
感想投稿日 : 2015年5月4日
読了日 : 2015年5月4日
本棚登録日 : 2015年5月4日

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