娼年 (集英社文庫)

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本棚登録 : 8913
レビュー : 1114
著者 :
otokitashunさん 小説   読み終わった 

「風俗」や「売春」と聞いて目くじらを立てる人には
一生理解できないであろう物語。
ていうか石田さん、何者??

複数での性行為、排泄によるエクスタシー、
同性愛、骨を折るほどのマゾヒズム…

人間の、女性の欲望と寂寥感をこれでもかと描き出し、
綺麗な文章でまとめていくテクニック。脱帽です。


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「『ふたりですれば素敵なことを、あなたはいつもひとりでしている。退屈になるのも無理ないな。(中略)まず女性やセックスを退屈だなんて思うのをやめなさい。人間は探しているものしか見つけない』」

「『綺麗な顔や上手なセックスだけが、女を惹きつけるとでも思ってるの?あなたのいつも難しそうな顔をして悩んでいるところも、ほかの人から見ると魅力的だったりする。自分で意識してる魅力なんて底の浅いものよ』」

「年の差はたぶん十五歳プラスマイナス2。こどものころから大人の女性が好きだったぼくには、障害にならない数字だ。なぜ彼女たちは年上であることを罪のように感じるのだろうか。そちらのほうが長いあいだぼくの不思議だ」

「ものを手にいれるより女性を満たす手助けをするほうが、ぼくにはずっとおもしろかった。どんなに効果なプライスタグがついていても、ブランド品など問題にならない。あれは結局、ほんとうは自分には勝ちがないのだと思っている人がほしがる勲章だ」

「『ほんとうは自分の問題ではないことで悩み、自分の考えでも価値観でもないことで人を裁く人間が、この世界にはたくさんいる。ぼくはそういうの嫌になるくらい見てきたんだ』」

「ぼくたちは自分が設計したわけでもない肉体の、ごくわずかな部分に振りまわされて一生をすごす。過剰な欲望をもつ人は生涯を檻のなかで送ることもあるだろう。それほど極端でなくても、平均的な欲望のもち主でさえ長くはない人生の何万時間かをセックスについて空想し、無駄に潰してしまう。(中略)この世界の途方もないフクザツさと同じだけの深さが、ただのセックスにあるのだという事実が、その夜ぼくを圧倒していた。」


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純愛や倫理を口で語るのは簡単でも、
それだけでは決して満たされることのない
スキマが人には存在するのもまた事実。

男女の仲に正しさなんてないけど、
最後のシーンで示唆されている石田の哲学は興味深いです。
(ネタバレなので書きませんが)

オススメ図書。夏にね。なんとなく。

レビュー投稿日
2012年9月22日
読了日
2012年9月22日
本棚登録日
2012年9月22日
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