働くための学習: 「教育基本法」ではなく「学習基本法」を

著者 :
  • 学文社 (2007年10月1日発売)
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感想 : 3
4

教育に関するマクロな問題(主に教育改革、教育法)について、
「労働」や「就労」と関わらせて述べた一冊。


著者が主として述べていることは、
現在の日本の教育議論は個人に焦点が当てられすぎ、
社会や労働と切り離される傾向にある、ということ。
そしてその原因は日本国憲法が制定される時点で
労働権と教育を受ける権利との関連が無視されたからだと、
西洋の教育政策と比較した上で論じている。

確かに、現状は個人の発達に重きが置かれすぎて
労働を含めた社会の現実を踏まえた議論がされにくい感がある。
その意味では、労働の視点を踏まえた本著の意義は大きいと思う。


他方、筆者は「教育」と“Education"の言語学的な意味合いの違いから
「教育」の用語を用いることの問題を強調している。
しかし、現状として
「教育」の意味は特に突き詰められずに用いられることを踏まえると、
この本の記述は
教育の実態を無視した言葉遊びの論になっている印象は否めない。
用語の捉えなおし自体は必要であるが、
実態と切り離して「教育」という用語の問題を論じている点は残念に思えた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 教育一般
感想投稿日 : 2009年3月28日
読了日 : 2009年3月28日
本棚登録日 : 2009年3月28日

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