教育に関するマクロな問題(主に教育改革、教育法)について、
「労働」や「就労」と関わらせて述べた一冊。
著者が主として述べていることは、
現在の日本の教育議論は個人に焦点が当てられすぎ、
社会や労働と切り離される傾向にある、ということ。
そしてその原因は日本国憲法が制定される時点で
労働権と教育を受ける権利との関連が無視されたからだと、
西洋の教育政策と比較した上で論じている。
確かに、現状は個人の発達に重きが置かれすぎて
労働を含めた社会の現実を踏まえた議論がされにくい感がある。
その意味では、労働の視点を踏まえた本著の意義は大きいと思う。
他方、筆者は「教育」と“Education"の言語学的な意味合いの違いから
「教育」の用語を用いることの問題を強調している。
しかし、現状として
「教育」の意味は特に突き詰められずに用いられることを踏まえると、
この本の記述は
教育の実態を無視した言葉遊びの論になっている印象は否めない。
用語の捉えなおし自体は必要であるが、
実態と切り離して「教育」という用語の問題を論じている点は残念に思えた。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
教育一般
- 感想投稿日 : 2009年3月28日
- 読了日 : 2009年3月28日
- 本棚登録日 : 2009年3月28日
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