日系人の歴史を知ろう (岩波ジュニア新書 605)

著者 :
  • 岩波書店 (2008年9月19日発売)
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感想 : 7
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日系アメリカ人に関する本は数冊読みましたが,日系ブラジル人に関するものは本書が初めてでした。

やたら難解なものが多い岩波「ジュニア」新書ですが,平易な文章で書かれている本書は本物の「ジュニア」にもオススメできます。

差別に苦しんだアメリカ移民とはやや性質が異なり,ブラジル移民は貧しさと病気との厳しい闘いがありました。辛い日々を送る移民の方々がそれでも帰国しなかった,いやできなかったのは,当時の日本が移民先の国に負けず劣らず貧しい国だったからです。移民の歴史を学ぶと,明治・大正・そして昭和初期という激動の時期を生きた日本人の凄まじさを感じます。今の豊かさは,そういう人たちの努力の上に立っているということを,私達は感謝しなければなりません。

ブラジル移民といえば,今の日本にいる日系ブラジル人の問題を避けて通ることはできません。本書の主題も,実はここにあります。
日本人と日系ブラジル人との摩擦は,国内のあちらこちらで生じています。もちろん,紛争の当事者になれば私も穏やかなことは言っていられないと思いますが,本書が最後に記しているように,互いの信頼関係を構築するための努力だけは絶対に惜しんではならないと私は思います。だって彼らは,私達日本人にとって「家族」なのだから。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2015年6月23日
読了日 : 2015年6月16日
本棚登録日 : 2015年6月16日

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