日本探偵小説全集〈8〉久生十蘭集 (創元推理文庫)

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本棚登録 : 139
レビュー : 6
著者 :
ぱぶろんさん 日本探偵小説全集   読み終わった 

『顎十郎捕物帳』全24編と『平賀源内捕物帳』から「萩寺の女」「山王祭の大象」「長崎ものがたり」の3篇、他に「湖畔」「昆虫図」「水草」「骨仏」を収める。『顎十郎捕物帳』は謂わば連作短篇なので、800頁近くある、短篇全集といった趣だった。

冒頭の「湖畔」は掛け値なしの大傑作。これまで読んできた短篇小説の中でも五指に入る代物だった。
『平賀源内捕物帳』より『顎十郎捕物帳』の方が面白い。前者は実在した人物を主役に据えているので、どんなものか期待したが、既存のイメージとのギャップに戸惑うばかりだった。後者の方が脇まで人物造形がしっかりしており、江戸っ子同士のやり取りもチャキチャキと歯切れ良い。「捨公方」や「菊香水」等、「こ、これで終わり?」と思わざるを得ない締め方のものが幾つかあったものの、謎解きの面白い「三人目」「蕃拉布」「両国の大鯨」、人間関係の面白い「稲荷の使い」「御代参の乗物」等々、分量の少なさに反比例しバリエーション豊かでさくさく愉しめた。いちばん好きなのは、「都鳥」。

ピランデルロの影響を解いた清水邦夫の解説、それより何より、付録されている久夫幸子の回顧録が素晴らしい。十蘭の口述筆記に添い遂げただけあって、押しも押されぬ名文である。泣ける。

レビュー投稿日
2013年8月1日
読了日
2013年8月1日
本棚登録日
2013年1月24日
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