火群(ほむら)の森

著者 :
  • 太田出版
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5

 飛鳥時代を舞台に、苦しむ一人の皇子蜂子。顔が西方系の鳶色であることから、生まれながらに、恐れられ、忌避される存在。山にこもり修行した後で訪れる悟り。
指導者、真岳はかたる。
「自分の思いのままに生きられよ」
「そなたの姿に寄せる皆の思いは
、そなたのものでなく、皆のものだ。それを拒むことがそなたの心からの思いならそうされよ」
 蜂子はハッと気づかされるものがあった。それを察したように真岳は静かにうなづいた。
「人々の思いがいかなるものであっても、それを受け入れるかどうか否かは、自分の思い一つじゃ。そこにそなたのまことの生がある。人の思いと己の思いとを、一つとするか否か。己の思いで、誰の思いを受け止めるか。そして、それを選び取った時、思いは溶け合い、互いの生が溶け合って、新たな一つの生となるのだ」

この年1992年に作風ががらりと変ります。思い惑っていた作者がある悟りを得たのだと解釈しています。
 

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 耽美
感想投稿日 : 2006年9月6日
本棚登録日 : 2006年9月6日

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