
数学・物理学史上、Euclidの原論と並び、もっとも偉大な本と呼んでよいのではないだろうか。
本書はブルーバックスとして再出版され、現代語訳になり、なおかつ各巻末に注記がされており詳しい解説がなされている。
原本に忠実な訳では現代のわれわれが読むと意味が異なるところもあり(例えばNewtonの時代では「運動」は物体の運動そのものを示すこともあれば、現代でいう運動量も示す)、そのままだとたぶん読みにくい。
本書はここを完璧に補完している。
これだけでも訳者に敬意を払いたいですね。
内容については、古典的な公理系から出発し、演繹的に理論を構築していく(命題→証明の繰り返し)スタイル。
証明で使用している理論はほぼ幾何学である。
この本を読むと、我々は現代的な視点で現象を理解することができる、すなわち解析学を用いた微分方程式による解析であるが、これが極めて洗練された形式であることがわかる。
幾何学を用いてもほぼ同じようなこともができるけれど、本書で示されているとおりかなり長い手続きを踏む必要がある。
ちなみにNewtonは微分・積分の分野での開拓者としても有名であるが、当時は出来立てホヤホヤであり、微分・積分を用いた解析もNewtonは理解していたと思われるが、本書の主題は運動の法則であるため、古典的な幾何学を使用したらしい。
証明一つ一つを丁寧に追おうとするとかなりの時間を必要とする。
中学~高校生で時間がある数学に興味がある人は手に取って学校の数学の先生と読み進めるとよいかと思う。
幾何学的な考察でここまで自然を読み解くことが出るのだぞ、と。
- レビュー投稿日
- 2020年3月27日
- 読了日
- 2020年3月24日
- 本棚登録日
- 2020年3月17日
『プリンシピア 自然哲学の数学的原理 第1編 物体の運動 (ブルーバックス)』のレビューへのコメント
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