空想書肆『庫出し・大吟醸』の本棚

イギリスの小説家ジョルジュ・ランジュランによって1954年に発表された短編小説。
イギリス空軍属の物理化学者ロバートの妻アンは、義兄のアーサーに夫を殺害したと自白の電話をすることから物語は始まる。アンは、やがて訪れたアーサーと、その友人のトウィンカー警部の眼前にプレス用のスチームハンマーによって上半身を潰されたロバートの死体を見せる。あまりの陰惨さからアンは逮捕の後に精神病院へ送られ、事態を予見していた彼女は、すべての経緯をレポートに記してアーサーに託し病院内で自殺する。
物理化学者のロバートは物体を瞬時に別の場所に移動させる物質電送機の研究開発に没頭しており、試行錯誤の末、彼はシャンパンの瓶等を用いて電送実験を成功させていた。そしてついには自身の体を使って電送の人体実験を行う。しかし、機械の中にハエが紛れ込んでいたため、電送の最中に両者が交じり合い、ロバートは頭と片腕がハエの体になってしまったのである。
と、ここまで書けばホラーファンならば判るように1958年に製作されたアメリカの怪奇映画『ハエ男の恐怖』の原作であり、1986年にデビット・クロネンバーグ監督によってリメイクされた『ザ・フライ』(The Fly)の公開に合わせてハヤカワ文庫として復刊されたのが本書。
ストーリーはグロテスクな怪奇小説の体を成すものの、内容は科学者の夫自らの人体実験の失敗という窮地を救わんと務める妻の姿を通して、妻と子の将来を案ずる夫の苦悩、愛する夫の最後の望を叶えるべく、その手に掛けなければならない妻の葛藤という「夫婦愛」がテーマとなっている異色作。
1843年、イギリス人のアレクサンダー・ベインがファクシミリの原型を発明。1929年にドイツのルドルフ・ヘルがテレプリンター方式をファクシミリに採用した新しい方式を発明した。ヨーロッパで生まれた画像転送器「ファクシミリ」の原理を発展させ「物質転送器」としてイマジネーションしたランジュランは、この作品で人間社会に深く関わり合うようになる電子機器の機械ゆえの誤操作によるアクシデントに警鐘を鳴らしつつ、引き裂かれた人間関係と苦境に立ち向かう夫婦の絆をショッキングな悲劇の中で描いたのである。

2014年2月18日

読書状況 読み終わった [2014年2月17日]
カテゴリ 映像化原作

スティーブン・キングの代表作にして70年代に流行った超能力(念力:サイコキネシス)を持つ《能力者》を主人公に、周囲の人間の回顧録や議事録を閲覧するかのような展開のホラー小説。
家庭環境や学校生活で苦境な日々を送るストレスから潜在的に持っていた能力を怨念とともに解放し、主人公をとりまく社会だけでなく、自らの命も崩壊させてしまう悲劇は能力者の持つ宿命か。主人公を十代の少女に設定し《血》をキーワードに、生々しく社会に横たわるイジメと生と性にまつわる宗教的思想を背景に、少女から女に、そして母へと「変身」して行く女性の神秘と力に畏怖と憧れを抱いた作者の視点は、怒りを生に、超能力を死としたストーリーはホラーというよりもネガティブな青春小説。
日本における宗教的な観念は別として、女性の持つ排他的で陰湿なイジメの構図は、学校での「学生社会」という閉ざされた社会環境で今なお行われている現実でのそれを痛感する事象あり、イジメを受ける者の怒りは、やがて社会全体に放たれ、怨念による破壊は十代の思春期に妄想した「絶対の力」としてのリアリティーを持つ。
体の内に流れるべき血を体にまとった姿は「人」ではない存在のメタファーであり、町を焼きつくし崩壊させる念力の描写など、忌み嫌われた者が力を持って社会に復讐するという構図は日本では怪談話や怪獣映画で表現されるシノプシスである。米本国はもとより、日本での人気は、実はそんな所にあるのかもしれない。

2013年11月16日

読書状況 読み終わった [2013年11月14日]
カテゴリ 映像化原作

アイラ・レヴィンが1967年に発表したサスペンスホラー小説。
「悪魔の復活」を画策する悪魔崇拝者達の企みにより、悪魔の子を産むこととなる新婚女性の視点からストーリーは描かれる。
キリスト圏の大国であるアメリカに悪魔の子が誕生するという悪魔崇拝(サタン信仰:サタニズム)の台頭をテーマに置いた本書は、当時、泥沼化する「ベトナム戦争」で多くのアメリカ国民が国政による戦争は善か悪かで平和に対する価値観が大きく揺らぎ、混沌とした時代的背景が色濃く反映されている。
刊行の翌年にはロマン・ポランスキー監督により映画化され、その後にブームとなる「悪魔の復活」をテーマにしたホラー映画『オーメン』、『エクソシスト』などの先駆けとなった。

2014年1月5日

読書状況 読み終わった [2013年12月7日]
カテゴリ 映像化原作

1933年に刊行され、宇宙から天体が飛来し、地球に衝突して人類が滅亡するという内容のストーリーにして、元祖的存在でもあるのが本書。
 地球軌道に侵入し、地球に衝突するコースをとる2連の放浪惑星(ブロンソン・アルファ / ブロンソン・ベータ)による地球滅亡から逃れるために天才科学者達による研究の結果、人類が生存可能な「ブロンソン・ベータ」に移り住む為に択ばれた人々によって、宇宙船を建造して地球から脱出を試みる。衝突間際の地球壊滅の描写は、超大津波や巨大ハリケーン、地殻変動で頻発する大地震による一般民衆の暴徒化した集団との攻防など、今読んでも古さを感じさせないリアリティー、その先見性と筆力には圧倒されるばかり。
惑星の衝突による地球滅亡の「審判の日」と、択ばれた(堅実な)者だけが生き残る道が与えられるという旧約聖書の『創世記』(6章-9章)に登場する『ノアの方舟』のスチュエーションをストーリーを加味することで、叙事詩的演出が成されているものの、脱出に成功する人類には日本、フランスの異国人も含まれ、必ずしも宗教色が強くならず、グローバルなリアリティもみられるSFスペクタクル小説の傑作。
1951年、ジョージ・パル製作、ルドルフ・マテ監督作品として映画化され、ディザスター(パニック)ムービーとしても先駆けとなり、現在においてもそのシノプシスは『ディープインパクト』や『アルマゲドン』っといった作品に受け継がれている。

2013年10月21日

読書状況 読み終わった [2013年10月21日]
カテゴリ 映像化原作

1971年、日本で放映され人気を博したホラーサスペンスドラマシリーズの原作。 殺人事件を追う新聞記者コルチャックの遭遇した怪事件のレポートを作者自身がまとめ上げるといった趣向でストーリーは展開する。そして、徐々に明らかになってゆく事件の全容と犯人は現代に蘇った吸血鬼や妖怪であったというサスペンスホラー。
体はコルチャックの一人語りで、登場人物や経緯を説明する件はハードボイルド小説を読みなれない読者にはいささか緩慢な印象を受けるかもしれないが、単に怪奇譚で終わらせない構成は今も一読の価値が有る作品。
現代に蘇った吸血鬼の巻き起こす事件『ナイト・ストーカー』、不老長寿を得るために殺人を犯すマッドサイエンティストの怪異な事件『ナイト・ストラングラー』の2編はテレビシリーズになる前のパイロットフィルム(試作品)として取りあげられた傑作小説。
しかし、シリーズ化が決定するも作者のジェフ・ライスはドラマ製作側から著作権や使用料など不遇な対応を受け、裁判沙汰となりドラマは製作が打ち切りとなり使用権も複雑化した経緯がある。
ランスの作品を認めてテレビドラマ化に尽力を尽くした人は誰有ろうSF作家、脚本家の大家リチャード・マシスンその人であり、ドラマ制作で演出に携わったメンバーは後の『バック・トウ・ザ・フューチャー』を監督することとなるロバート・ゼメキスとボブ・ゲイル、製作には『Xファイル』を製作するクリス・カーターといった面々を輩出するムーブメントな作品でもあった。特にクリス・カーターは『Xファイル』の製作に当たりホラー作品の中に有って、権力者や政府によって情報の隠ぺい、改ざんされる謀略をして「政府や権力者を信用するな」というサブテーマはこの作品からインスパイアされた。

2014年12月6日

読書状況 読み終わった [2014年12月6日]
カテゴリ 映像化原作

★松本零士著による漫画、テレビアニメ、OVAと人気を誇る『宇宙海賊キャプテン・ハーロック』の最新作としてリアル3DCGによる劇場版作品のノベライズ。戦闘メカオタクの小説家、福井晴敏が劇場用ストーリーのシノプシスを構築し、それをノベライゼーション化したのは脚本家であり小説家の竹内 清人。
新たに加えられた設定やスチュエーションは奇抜な趣もあるが反面、福井作品の多くに見受けられる屁理屈と言い訳で固めた主人公の「優柔不断」さと、ドラマとしての内容の「薄さ」に辟易とさせられる。また、竹内の文体で全編に渡って逆接の接続詞を「〜だけど、〜」と書いているのに強い違和感を感じた。ハードなストーリーを描く上でも「〜しかし、〜」または「〜だが、〜」を用いるべきではなかったか。小説としての筆力も低く仕上がりも稚拙。劇場公開に合わせて急いで出版した為か?、メインユーザー向けに今流行りの「ラノベ調」に仕上げたからか?いずれにせよ、せっかくのノベライズ作品であるので校正に時間をかけて、しっかりした《商品》にしてほしかった。とはいえ、この作品のスタッフにそれを求めるのがそもそも無理があるのか。
「ノベライゼーションをなめるな!」以上、終わり。

2013年9月7日

読書状況 読み終わった [2013年9月5日]
カテゴリ ノベライズ

かつてアシモフが唱えた「ロボット3原則」に手塚治虫は悩み、アトムは苦悩した。漫画家として同期の石ノ森章太郎は童話『ピノッキオ』になぞらえて人形(機械)が人とならんとする為に悩むロボットの姿を描いたのが『人造人間キカイダー』である。子供向けのアクションヒーローとしてテレビ放映され、またシリアスでハードなストリー展開でオリジナルOVA(オリジナル・ビデオ・アニメ)としてもリメイクされた傑作は、2013年、新たにベテランエンタメ作家の松岡 圭祐の手によって現代を舞台に更なるリアリティーを持って小説版としてリメイクされたのが本書。
原作者石ノ森の描く漫画の基本ストーリーを踏襲しつつ、ビジュアル的な設定はテレビ版の設定やプロットを生かしながら松岡の持ち味である現代のロボット工学のテクノロジーも加味することで説得力のある綿密なシノプシスの構築がなされテンポの良い展開は「大人の鑑賞に堪えうる」質の高いエンターテイメント小説として蘇った。
映像化を前提にしたノヴェライズはシーンごとに章が割り振られ、読むほどに場面を脳内ビジュアルとして描ける計算された文章は数々の作品を映像化されてきたヴェテラン作家松岡の真骨頂とも言えよう。昨今濫作されるキャラクターアイテムのリメイクの中で安直なノベライゼーションで終わらせることなく、しっかりした小説版は『-The Novel- 』を謳っても納得できる。

2013年9月1日

読書状況 読み終わった [2013年8月31日]
カテゴリ 映像化原作

小松左京が1964年に発表した長編SF作品の第二作。(初刊は早川書房が日本人SF作家による長編小説作品ブランド「日本SFシリーズ」の第1巻)
細菌兵器の漏えい事故による人類の絶滅から地球上の人類として復活する足がかりを掴むまでを描いた本作は、ジョン・ウィンダム著『トリフィド時代』での人類が滅亡するという世界観、ネビル・シュート著『渚にて』の全面核戦争により絶滅に瀕した人々の人間ドラマを下敷きにしている。
米ソによる冷戦のさ中、抑止力としての核兵器以外の「細菌兵器」による事故によって世界規模で爆発的に蔓延した致死性の高い菌種で全世界は壊滅してしまう。軍事、世界情勢と気象学から生物学に至る綿密なる設定で、新たな人類として地球上に復活する足がかりを掴むまでを描いた日本初の人類滅亡を扱った長編SF小説。
奇跡的に生き残った少数の人々は地球上の「人類」としての存続をかけて様々な苦難に立ち向う姿を347ページに及ぶ“プロローグ”と、85ページの「本編」で構成される大スケールで紡がれる壮大な人間の賛歌。
1965年、東宝映画で映画化の企画が立ち上げられるも、大スケールのストーリーは膨大な予算が必要になり、当時、東宝が米映画会社との合作を精力的に行っていた時期でもあり、この基本プロットを20世紀フォックスへ売り込んでいた。折しも20世紀フォックスに脚本家として出入りしていたマイケル・クライトンがこのプロットを読み、4年後の1969年に『アンドロメダ病原体』を出版、映画化されたのは有名な逸話。

2013年8月31日

読書状況 読み終わった [2011年9月22日]
カテゴリ 映像化原作

古典SFマイブームから数回目の再読。1951年に発表された人類壊滅をテーマにしたSF小説。
地球に接近した流星群を見た世界中の人々は、その《後遺症》によって失明、盲目化してしまう。時を同じくして良質の植物油を抽出できる事から遺伝子操作れて生み出され、栽培されていた肉食植物「トリフィド」が氾濫、繁殖し盲目となった人々を襲い始め、謎の疫病も発生し人類は緩やかに、しかし確実に絶滅へと進んでゆく。
“三本足”の歩行可能な食肉植物が人を襲うプロットはH・G・ウェルズ著『宇宙戦争』へのオマージュであり、1962年にSFホラー映画『人類SOS』として映像化された。この映画を観て感銘を受けた映画監督ジョージ・A・ロメロはゾンビ映画『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』を撮り、さらに本小説のテーマをプロットアイディアにして『ゾンビ』を撮ったのは有名な逸話。
東西冷戦のさなかに多くの人々の心に影を落としていた「侵略核戦争と人類絶滅」という恐怖を根底に置いたストーリーは人類の殆どが「失明」する事で機能を失う日常社会、そして時間と共にゆっくり崩壊(風化)して行く現代文明の壊滅描写は非常にリアル。

2013年8月31日

読書状況 読み終わった [2011年9月4日]
カテゴリ 映像化原作

少年期の頃にテレビでジョージ・パル制作の映画『宇宙戦争』を観て以来、学校や図書室で何度となくウェルズの児童書を読み、発表から115年という歳月を経て、なお色褪せることないそのプロットとストーリーは驚愕に値するSF小説作品の古典中の「古典」。
ウエルズのメッセージとテーマを語るラスト10ページの事柄のために、前300ページに渡るストーリーで火星からはるばる《蛸さん》を呼んだり、彼らの陸戦兵器「トライポッド:三脚掃討機」を縦横無尽に暴れ回らせ殺戮と修羅場をせつせつ読ませるウェルズのイマジネーションと空想作家としての筆力は今なお計り知れない。
SFの古典であると同時に、私に「小説」の面白さを教えてくれた作品の一つでもある。

2013年8月31日

  • 侵略SFの古典をエンターテイメントにシフトさせたハヤカワ版を読み終えてから原版訳として評価の高い中村 融による「創元SF文庫版」を再読。火星人の襲撃に始まり、クライマックスで「私」と牧師補との諍いから生存をかけた争いとなるまでの描写と火星人を倒したのは人間ではなく地球の<創造主>が最初に作り出した微生物によって成されたという『科学と信仰』というメインテーマを文学的かつ重厚に描き、 原題の「The War of the Worlds:火星人世界と地球人世界の戦争」の意味を改めて納得させるのが本書であろう。

    再読了日:2012年11月24日

読書状況 読み終わった [2011年8月31日]
カテゴリ 映像化原作

上巻とは打って変わって絵に描いたように、じゃなかった文字に描かれている通りにアップテンポで話は進む。座敷わらしの伝承が語られた後に一番仲の良い智也と“二人”でシャボン玉で遊ぶくだりでは「シャボン玉」の歌の歌詞の解釈を知ってしまった故に座敷わらしの楽しそうな姿の描写の切なさ、やるせなさに胸が締め付けられる思いが。「幸せのヒント」とも言えるさりげなくセリフに紡ぎ込まれた金言も非常に上手い。ラストの一行は久しぶりに小説を読んで胸がグッと熱くなる。間違いない荻原浩作品のベストと言ってしまおう。異論は認めないっ!

2013年8月31日

読書状況 読み終わった [2011年7月7日]
カテゴリ 文庫

短編集「押入れのちよ」の可愛いお化けと「ビューティフルライフ(短編集『さよなら、そしてこんにちは』に収録)」の家族譚を合わせて再構築したかのような話。とはいえ両方とても好きな話だったので、ガッツリ心を鷲掴み。ダメダメなお父さんと空中分解寸前の家族が現実から逃げるように引っ越した先の家に住み着いている座敷わらしとの触れ合いのなかで素敵に変わってゆくというメルヒェン&ファンタジー。上巻は登場人物紹介とその世界観の紹介で展開される。さぁ、これからどうなる?萩原のこういう物語やテンポの良い軽口語りは大好きだな。

2013年8月31日

読書状況 読み終わった [2011年7月4日]
カテゴリ 文庫

SFディザスターストーリーに例えられる本書ではあるが、キェルケゴールの哲学書「死に至る病」をベースに絶望の中にあって人として如何にあるべきか?何処に『生』を見出すか?を読者に問う作品。
全面核戦争により壊滅した世界に残されたオーストラリア大陸のメルボルンを舞台に、やがて訪れる超高濃度の「死の灰」の到達まで半年という期間で人類滅亡の恐怖と葛藤の中、ある者は信念を、ある者は夢を謳歌する事で生甲斐を模索する姿が描かれており、絶対に避けられない「死」を認めた上でそれぞれに観えて来る喜びや幸福感を見出す「生」の価値は深く胸を打つ。
1957年の本作発表後、話題となり同名で1959年に同名で映画化されるも、原作としてのメッセージ内容が大きく変更され核戦争への「反戦映画」的な仕上がりに著者は大きな不満を持っていたとは有名な逸話。

2013年8月31日

読書状況 読み終わった [2011年7月2日]
カテゴリ 映像化原作

とある理由から妻子と別れ、半生をかけて築き上げてきた全てを失ってしまった人気シナリオライターが夏のある日、子供の頃に亡くしたはずの父母と再開する。時を同じく知り合った年若い恋人との奇妙なふれあいを通して、両親に、自分に、親として子へ、男として女性へ、そして知人への“愛”をお仕着せのない自然なストーリーの展開で主人公が体験した不思議な一時を感情豊かに描く大人の寓話。劇場映画版も素敵でした。必ず同じ所で目頭が熱くなる作品。読み潰して2冊目。今でも「お盆」になると浅草という下町で「すき焼き」が食べたくなります。

2013年8月31日

読書状況 読み終わった [2011年5月21日]
カテゴリ 文庫

マイケル・クライトンが小松左京による名著『復活の日』の第一章で描かれた細菌が蔓延することで人類が絶滅の危機に直面するというエピソードからインスパイアされて書き起こした有名SF映画のノベライズ作品。
一晩で二人の生存者を残しただけで、小さな村の住人が全滅した原因究明から宇宙から飛来した未知の菌株発見と対処にわたるSF医療ミステリーから一転して施設内に繁殖が確認され、自己診断する保安コンピューターによる蔓延防止の為の自爆が決定されるが、この毒性の強い菌株は核爆発による放射線によって猛烈に繁殖が促進される事を知った主人公が爆破阻止に赴くパニックサスペンスへと展開するストーリーは見事。
原題の「ストレイン=菌株」はキノコやカビの分類で「病原菌」ではない。多分に邦題命名の際に「アンドロメダ“カビ”の恐怖」では、絶対ウケないであろう危惧から、日本人にはニュアンス的に「病原体」の方が怖いイメージを導き出しやすかったところを狙ったか。原題と邦題の難しさよ。

2013年8月31日

読書状況 読み終わった [2011年4月9日]
カテゴリ 映像化原作

死んで黄泉の国へ旅立った人が帰ってくるという「想定外」でホラーな現象に戸惑う行政から物語が始まります。『死に別れる』という絶対の別離において、逝った人、残された人それぞれの立場での葛藤を描く事で、「人」の想いや繋がりを描いたファンタジー小説。クライマックスでは『よみがえり』の原因に加え、人間がこの世に『誕生』した起源が描きこまれるSF風味のオチと、まさに「幕の内弁当」状態。そのジャンルは読み手によって色々に解釈できるサービス振りに脱帽!

2013年8月31日

  • 死別したはずの人達が幽霊ではなく、いきなり現実に「帰還」してしまうことで起こる騒動を描いた本作。日本の風習である『お盆』に込められた日本の伝統をSFタッチで語るも、絶対の別離から立ち直り、現実の生活を送る人たちや、蘇ってしまい「人でなくなった自分」に戸惑う様子が儚くも切ないが、自分ならばどうするだろうと思わず作品世界を疑似せずにはいられない優しい文体は非常に心地よい。私なら最愛の人に再び逢えたのならば、やはり永遠を願うだろうな。たとえ「2度目の別離」があると解っていても。心優しく響くSFファンタジー。

    再読了日:2012年8月3日

読書状況 読み終わった [2011年3月26日]
カテゴリ 映像化原作

1966年、ハリー・クライナー脚本デヴィット・ダンカン脚色、リチャードフライシャー監督によるSF映画をSF作家のアイザック・アシモフがノベライズしたのが本書。
体内に縮小された潜水艇によって患者の体内に潜入して手術不可能な病巣を体内で直接治療するといった斬新な発想とSFプロット、暗躍する暗殺者のスパイアクション仕立ての導入部から潜航艇内で何者かによる妨害工作が続き、チーム内に敵のスパイがいるのではないかと互いに疑心暗鬼になる密室劇的要素や次々と起こる不測の事態の克服といったサスペンス要素を盛り込んだストーリーはSF作品に新たなジャンルを築いた名作。
人や機材を縮小させることは無理でも、 医療ロボットを体内に入れて治療する「ナノ医療」が実際に研究され、実用化されている現在。昔読んだSFのスチュエーションが現実になリつつあると不思議な気がしさえする。

2013年8月31日

読書状況 読み終わった [2011年3月16日]
カテゴリ ノベライズ

前作よりも一つお姉さんになった早苗と香織。好評の続編。転校によって離れ離れとなって暮らす事になった早苗と香織はそれぞれ別々にスポーツと武道、ゲームと勝負という『有り様』に揺れる。思いの心と志に健気に悩む姿は純粋におじさんの心をクリティカル。青春物はお話をどうのと語ると、つまらなくなってしまう。読んでみよう。思い想い感じた事と過ごした時間が『青春』を教えてくれる。 それにしても、あなたたち、メチャクチャかわいいよっ!

2013年8月31日

初めに犯人の描写がされ、犯人と犯行過程が判った上で警部がどのようにして犯行を見抜くのか?警部と犯人のやり取りで暴いて行く「倒叙形式」で展開して行くミステリー短編集。主人公は何と!女性で小さくて小太り。とても「警部補」とは見えない和製「刑事コロンボ」。作者が大の「コロンボ」好きなので妙に納得するも、丁寧でテンポの良い文調は読んでいて画面のようにイメージが伝わります。「刑事コロンボ」、「古畑任三郎」好きな方は是非!

2013年8月31日

読書状況 読み終わった [2011年2月17日]
カテゴリ 映像化原作

物理学者が理系的推理によって難事件を解決する東野圭吾による短編「ガリレオ」シリーズの主人公、ガリレオ湯川の友人でありライバルの天才数学者の石神の構築した鉄壁なトリックを暴く長編小説。
一見、一途な愛の為に石神が犠牲となる話のように見えるが、石神の行いははたして本当に花岡親子の「気持ち」を考慮していたのだろうか。石神による≪救い≫は花岡親子から『贖罪』を消し去ったかに見える。がしかし、実際は人としての良心の呵責を奪い取ったにすぎず、彼女たちにはその後悔に苦悩しながら残りの人生を生きて行かなければならない辛い毎日しか残さない。
人の気持ちを汲み取れない数学の天才、石神によるひとの心を≪計れない≫で行われる一方的な「献身」は、花岡親子の罪を償うという人としての心を縛る『呪い』でしかないのだ。
今日の社会における善意、親切、奉仕という美語の裏側に宿る負の「献身」の冷たさ、怖さ。東野の多くの作品に宿るシニカルでブラックな視点は実に見事。しかし、そこには全く「救い」はない。

2013年8月31日

読書状況 読み終わった [2011年2月10日]
カテゴリ 映像化原作

淳子の持つ能力を世の平和の為に使用することを促したガーディアン。「孤独な闘い」から「人のあるべき戦い」を始めた淳子に謀略の影が降り意外な展開へ。 悪人の他者への殺意と、悪人に対する殺意。能力を使える者と能力を使わせる者の「相互支援(クロスファイア)」における同害報復は、はたして『正義』なのか?。筆者の投げたメッセージは人道にとってあまりに重く、難しい。

2013年8月31日

読書状況 読み終わった [2011年1月28日]
カテゴリ 映像化原作

序章「燔祭」で生贄をもって、それまで人であるために、ただひたすら押し殺していた自分の「力」と向き合う事で生きる証を見出した能力者、青木淳子。彼女は言う「自分は装填された銃である」と。 しかし、銃は自身では弾丸を射ることは出来ない。己で射るとき、それは「暴発」となる。淳子は悩む。銃としての自分を。

2013年8月31日

読書状況 読み終わった [2011年1月23日]
カテゴリ 映像化原作

ガリレオシリーズ第2弾。「さぁ、今度はどう来る?!」と読み始めてあっと言う間に読了してしまうのは短編小説集の面白さ。最後の『第五章・予知る(しる)』では事件が科学的考証で解決したようで実は最後に押し出し的なオチに「なんでぇ~!」。これではガリレオ湯川センセの立場がないじゃんっ!と、チョッと強引な印象を受ける読了感。しかし、全体の構成は、どれもオカルトテイスト満載であり、そこも作者の意図した事ならば見事作者に“ヤラレタ感”があります。シリーズ物には〈変化球〉の存在は、これはコレで有りなんだろうな。

2013年8月31日

読書状況 読み終わった [2011年1月12日]
カテゴリ 映像化原作

奇怪で難解の事件を天才物理学者が科学的な考証で謎を解決して行くという科学ミステリー。「探偵ガリレオ」と言えばTVドラマになった作品ですが、今から40年前に円谷プロが制作した空想特撮ドラマ『怪奇大作戦』みたいでちょっとアレでした。しかし、原作となった小説の方は、科学的な理詰めで盛り上げる小説ならではの展開の短編集なので楽しく読めました。あれ、柴崎コウ演じる内海薫は小説版では出てこないのね(笑)。

2013年8月31日

読書状況 読み終わった [2010年12月30日]
カテゴリ 映像化原作
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