海と毒薬 (角川文庫)

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本棚登録 : 1300
レビュー : 172
著者 :
制作 : 駒井 哲郎 
pcfさん 小説   読み終わった 

<主な登場人物>
勝呂…訛りのとれない医者。
(勝呂の回想)
戸田…勝呂と同じ医者生。
上田…離婚して満州から日本へ戻ってきた看護婦。
ヒルダ…おやじと慕う勝呂の担当教授の奥さん。神を信じ、ボランティア活動を献身的に行う。

<あらすじ>
時は第二次世界大戦の頃。
九州のF大学で、米軍捕虜の人体実験が行われることになった。
罪悪感さえ感じられない男、もはやそんなことはどうでもいい女。
そして、良心の呵責に耐えられない男。
それぞれの人を通して、それぞれの罪の意識を鮮明に描き出す。




そういえば、「王妃マリー・アントワネット」を読んで以来
この作家の小説を読んでいなかったことに気づき、手に取ったのがこの作品だった。
神―キリストへの信仰を中心として―を描いている部分もあったが、そういう描写は少なかったような気がする。

作品は、実際に起こった人体実験をモチーフとして罪の意識を描き出す。
米軍兵に対して実験を行うシーンはまるで見ているかのように生々しく感じられるほどだ。
それは、作家の精緻な描写力によって成立しているところがあるのはもちろん悩みぬく人々の表情が伝わってくるかのようだった。

ただ、戸田のイメージが、どうしても太宰の「人間失格」の主人公・葉蔵と重なってしまい、彼の性格をよくつかむ事が出来なかった。

レビュー投稿日
2011年12月22日
読了日
-
本棚登録日
2011年12月22日
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