芳ケ江国際ピアノコンクールを舞台に、様々な個性を持ったピアニストたちが激戦を繰り広げる模様を描いた作品。507ページ、しかも上下段の大作だが、スイスイ読める。王子様のような才色兼備のピアニスト「マサル」。自宅にピアノもないという常識破りの環境ながら、偉大なるピアニスト、ホフマンにその才を認められ、ギフトとまで言わしめた「風間塵」、天才少女と目されながらも母の死により一線から遠ざかった「栄伝亜夜」、サラリーマンで妻子持ちだが最後のチャンスとコンクールに出場した「高島明石」など、いずれも個性あふれるピアニストが登場し、まるで音が聞こえてくるかのような曲の描写も見事。個人的には、高島明石の存在が、この作品をより親しみやすく、厚みのあるものにしていると感じる。
調律師の物語であった「羊と鋼の森」も面白かったが、こちらも心震える名作。ぜひ読んでいただきたい。
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- 感想投稿日 : 2018年8月1日
- 読了日 : 2018年7月28日
- 本棚登録日 : 2018年8月1日
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