山月記

4.09
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本棚登録 : 489
レビュー : 79
著者 :
pe11さん  未設定  読み終わった 

学生の時分ではただただ難解な文章だと思っていましたが、再読を重ねるごとに味わい深いものだと思わせられる作品です。
この語調の良い文章は後にも先にもこの人ただ一人にしか書けないのではないでしょうか。短命だったのが実におしい。

中身に関しては文章によって糖衣されているものの、アリとキリギリスのような寓話に近いと私は考えています。

鈍物と気にも留めなかった同輩は長い研鑽を通じて高位に進み、尊大な羞恥心を捨て去らなかった李徴は詩家の名を残すこともなく虎と化す。
博学才穎、儁才という衣に身を包み、人と交わろうともしなかったが故に彼は虎として、自らの悲哀を誰にも伝えることが出来なくなったのでしょう。
李徴が自身の才に飲まれる最後の際、袁さんという理解者を登場させたのは偏に中島敦の優しさなのではないかと思います。
孤独の中にあって、自責の念に苛まれ、最後にようやっと気づけたと人と交わることが出来たのですから。

レビュー投稿日
2019年7月4日
読了日
2019年7月4日
本棚登録日
2019年7月4日
4
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