ねにもつタイプ (ちくま文庫)

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本棚登録 : 1343
レビュー : 193
著者 :
ゐつぺゐさん  未設定  読み終わった 

 笑えるエッセイ数あれど、爆笑の域にまで達するのは原田宗典だけだった。何年かぶりに概念が覆った。この岸本さんの『ねにもつタイプ』に収録されている話にはどれもこれも笑った。電車で肩が震えた。家で思う存分笑いながら読まないと駄目だと思った。文章がすごくリズムが良くて間が絶妙。この間を感じさせる文章って技術だなぁ。匠だなぁ。それと表現もおもしろくて、例えば「生きる」という項目では、トイレットペーパーを新しく買ってきて補充しようとすると以前の分が1個だけ残っていたけれど構わず新しいのを手前に入れたら突然その古いトイレットペーパーが抗議の声を挙げだす。もうこの時点で大概可笑しいのだけれど、岸本さんはそんな抗議の声を無視して呪いの言葉を吐かれる。

“やれやれと思い、私は机に向かう。だがなんだか気持ちが落ち着かない。物の分際で生意気な。「呪ってやる」とは笑わせる。だいたいトイレットペーパーごときに呪いの力があってたまるか。仮にあったとして、どんな呪いが可能だというのだ。トイレで並んでいると必ず横入りされるとか。でもって入ると必ず紙がないとか。それが一生続くとか。”(133ページ)

 岸本さんはとてもユーモラスで脱力した笑いの持ち主だと思う。電信柱の根本をくんかくんかと嗅いでいる子供がいるような(他にもおかしなことが起こる)町で暮らすのが不安になり、引っ越した先の町が普通なことに喜んで、嬉しさのあまり電信柱の根本をくんかくんかと嗅いだとか、短期バイトの寮のおばさんが変わっていて、友人が体調崩して寮に戻ると全裸で立っていたとか、会社の命令でフレンチ・カンカンを踊るためだけに大阪に行ったとか、もうとにかく笑った。力を抜いて笑いたいときには是非お供に。

レビュー投稿日
2014年1月27日
読了日
2014年1月27日
本棚登録日
2014年1月27日
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『ねにもつタイプ (ちくま文庫)』のレビューへのコメント

猫丸(nyancomaru)さん (2014年4月14日)

「脱力した笑いの持ち主」
それだから、ケッタイな小説を見つけてきて訳されるのか、それとも癖のあり過ぎる翻訳をされているうちに、感化されたのか、、、知りたい。

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