不幸な国の幸福論 (集英社新書)

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本棚登録 : 530
レビュー : 79
著者 :
うえつじラスカルさん 03.評論   読み終わった 

小学生の頃の話。毎日、朝の会で「今日の目標」というものを決めていました。廊下を走らないようにしよう。ゴミが落ちていたら拾うようにしよう。そういう他愛もない目標が決められていたのですが、こんな目標を決めることがありました。

「いちにち、元気に明るく過ごそう」

今思えば、壮大な目標だと思います。毎日毎日、楽しいことや嬉しいことばかりがあるわけではありません。つらいことや泣きたいこともあるのに、「元気で明るく過ごせ」とな。

現代社会は、明るく前向きで社交的であることばかりが評価される社会であるような気がします。悩んでいる姿を見せたり、人生について議論したりするのは、暗い・重い・ダサいというイメージが浸透し、友達同士でも「明るく元気」を装って表面的な部分で付き合う人が増えているのではないでしょうか。

また、ポジティブ・シンキングやプラス思考をすすめる本が次々に出版され、他者に対し装うだけでなく、自分自身に対しても常に明るく前向きであることを強いる傾向があるように思えてなりません。前向きに考えるのは大事なことですが、悩むというプロセスを抜きにしたプラス思考は、自分の弱さやダメな部分から目を逸らすことにつながりかねません。

大いに悩み、まず自分の弱さや能力の限界を知って、それを認めてこそ、「では、どうしたら変えていけるだろうか?」と考えることができるようになるのではないのでしょうか。悩むことをとおして人は自分を知り、成長していくもの。悩むことを忘れては、人間としての広さを身につけることはできません。

そんなことを考えさせられた1冊です。

レビュー投稿日
2010年5月8日
読了日
2010年4月24日
本棚登録日
2010年4月24日
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