1991年と2012年の二回にわたるコンゴ民主共和国(ザイール)の旅行記。一回目は妻と、二回目は首都のキンシャサ在住の若手日本人研究者と。貨客船を中心に数珠つなぎになった船団に乗ったり、スピードボートに乗ったり、丸木舟に乗ったり。同じ行程の旅をのなか悟空さんの旅行記で読んだことがあるが、人によって感じ方がまったく違う。真知さんはこの国を穏やかな眼差しで見つめていく。そうやって見たり聞いたりしたことを柔らかでわかりやすい文体でかみ砕いて書いていく。
「世界は偶然と突然でできている」という言葉が見出しに記された281~283ページの節が素晴らしい。不安定な社会に住む現地の人たちが生きていくため、自然と身につけた偶然や突然な出来事に「折り合いをつけ、わたりあい、楽しんでしまう力こそがここで生きるうえでは不可欠」と結論づけているのだ。
真知さんの本を読むと、こうした心の奥深くに染み渡る静かな言葉がちりばめられているのだけど、やはり今回も期待を裏切らなかった。
読書状況:読み終わった
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ノンフィクション
- 感想投稿日 : 2015年8月3日
- 読了日 : 2015年8月3日
- 本棚登録日 : 2015年6月18日
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