チャトウィンといえば紀行文の名著「ソングライン」、「パタゴニア」の著者だ・・・といっても両方大昔に読んだので、覚えていない。ただ「良かった」という記憶だけが残っているのでソングラインの新訳まで買った(未読)。40代の若さで亡くなったことも今回知った。
彼のエッセイ集があったこと、それが文庫になっていることを知って購入。非常に博識な人で、歴史、美術、社会・文化と、驚くほど多岐にわたる内容について、プロフェッショナルな観点で語り尽くす。旅ライターの類ではまったくないが、あてどのない旅の空気に包まれている。文章は余分なサービス精神はなくミニマルにして、硬質で簡素だ。この文章を読んでいると、内容の面白さはあるのだがそれ以上にチャトウィンという人物が浮かび上がってくるようだ。
その人物像を端的に表現するのが表紙の写真。こんなすばらしい遺影を残してみたいものだ。彼の父親の目はこのうえなく美しい青だった、という一文があるが、彼の瞳もまたとない青、旅で出会う海の青空の青ではなかったかと想像する。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
海外
- 感想投稿日 : 2015年6月16日
- 読了日 : 2013年1月16日
- 本棚登録日 : 2015年6月16日
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