オープン・シティ (新潮クレスト・ブックス)

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本棚登録 : 164
レビュー : 14
制作 : Teju Cole  小磯 洋光 
petercatさん 海外   読み終わった 

読み始めてしばらくして気が付く。独白のみで構成されている。主人公ジュリアンの一人語りが中心で、出会った人々のエピソードも織り込まれるがそれも彼ら彼女らの独白主体。多彩な人々が登場するが、複数人での”会話”は少ない。翻訳でも「」を使っていない。またジュリアンは常に彼らを通り過ぎていく存在だ。
ナイジェリア系作家とはいえアフリカらしさ(と考えるのは間違っているのだろうが)はなく、ジュリアンはアメリカのインテリである。カーネギーホールでのマーラーのコンサートで周囲が白人の年配者であることを意識しつつも、郵便局で「やあブラザー」と声をかけられると「ジュリアンです」と答えこの郵便局は今後避けようと思う。
強烈にハイコンテキストな小説で、文学哲学クラシック音楽美術の高い素養を持った主人公(と作家自身)である。父親の死にグレコとクールベが重なり、自身へのとある告発にカミュの日記が持ち出される。
ここまで来るとハイコンテキストぶりも作為か?告発に対するコメントもないまま、ジュリアンはただ放浪する無害なインテリというだけではなかったのか?珍しいタイプのキャラだ。答えがないまま幕を閉じる。
優れた小説ではあるが乗り切れなかった。

レビュー投稿日
2018年4月26日
読了日
2018年4月26日
本棚登録日
2018年3月3日
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