みかづき

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本棚登録 : 3285
レビュー : 488
著者 :
しのさん 日常物   読み終わった 

「学校教育が太陽だとしたら、塾は月のようなぞんざいになる…。」

昭和36年。小学校の用務員の大島吾郎は、仕事場兼住居の用務員室で、
一部の授業についていけないって言う子や、宿題が出来ない子に勉強を教えていた。
吾郎さんに教わると良くわかると慕われ「大島教室」と呼ばれていた。
教員免許はないが、抜群に教える「才」をもっていたのだ。
勉強を教えていた一人の児童・蕗子の母親千明に誘われて、学習塾を立ち上げる。
女手ひとつで娘を育てる千明と結婚し、家族となった吾郎。
ベビーブームと経済成長を背景に、塾も順調に成長してゆくが、
予期せぬ波乱がふたりを襲いーー。

子供の学習能力を引き出すのに天才的な能力を持つ温厚な人柄の吾郎と、
文部省の指導要領に激しく反発しながら、塾を発展させていく向上心の強い千明。
対照的な夫婦の姿を描きながらその時代背景や夫婦の子供や孫を
教育に関わらせるという描き方で、昭和三十年代から平成の現代まで
一家族三世代にわたって、六十年間にわたる壮大な物語でした。
壮大なのに飽きさせない、著者の筆力と思いの強さが素晴らしかった。

敗戦後の日本の教育制度の迷走…塾って何?悪しきものかの様に言われていた時代。
誰もが当たり前の様に通っている時代。少子化によって通う子が減ってる時代。
また貧困化によって通えない子が多く存在する時代。
時代によって、塾の在り方や真の教育とはと深く考えさせられました。
私自身小学一年生から塾に通い、色んな習い事にも通わせてもらい。
遊びの延長の様に過ごしていましたが、今思えば何と有難かった事なんだろう。
もっと、もっと真剣に学んでおけば良かったって大人になって凄く感じてる。
そして、大人になって資格取得の為に学ぶと凄く楽しい♪

最終章の〝新月〟が良かった~何度も涙が零れました。
吾郎と千明の孫の一郎。
生まれながらにして不器用な性分。
何事にも時間がかかるのんびり屋で、いつも人よりワンテンポ遅れる。
ものを考える速度も遅く、急に言葉をふられてもすぐには応えられない。
うわ~私みたいだって激しく共感した~( ˶´⚰︎`˵ )
そんな彼が遠回りしながらも、葛藤しながらも自分の進む道を見付けて進んでゆく姿良かった。
彼の優しさ、子供を想う心…本当に何度も何度も涙が零れた。

「常に何かが欠けている三日月。
教育も自分と同様、そのようなものであるのかもしれない。
欠けている時間があればこそ、人は満ちよう、満ちようと研鑽を積むものかもしれない」
とっても素晴らしくって素敵な言葉です。心に染み入りました。
人間生きている間ずっと学んでいるのだと思う。

レビュー投稿日
2017年2月24日
読了日
2017年2月24日
本棚登録日
2017年2月2日
7
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『みかづき』のレビューへのコメント

杜のうさこさん (2017年4月1日)

しのさん、こんにちは~♪

読まれたんですね~。
年末から心配事が重なって体調を崩してからなかなかスッキリしなくて。
やっとお邪魔してレビューを読むことができました。

「常に何かが欠けている三日月。
教育も自分と同様、そのようなものであるのかもしれない。
欠けている時間があればこそ、人は満ちよう、満ちようと研鑽を積むものかもしれない」
私もこの言葉が特に胸にしみました。
この本のすべてが、この一文にあるように思えました。

そうですよね、生きている間はずっと学んでいきたいですよね。
昨日より今日、今日より明日、
少しずつでも何かを得られたらいいなぁ。

もっと早くそれに気づいて実行していたら良かったのに、今さらな私?(笑)

しのさん (2017年4月2日)

こんにちは~お久し振りです( *´艸`)
沢山のイイネとコメントありがとうございます(#^^#)
うんうん、読みました~本屋大賞のノミネート作を沢山読みましたが、この本とっても素晴らしかったです(*'▽')

一緒です~どうして学べる時にもっともっと真剣に学ばなかったんだろうって今更ながらに後悔しました(笑)
大人になって、資格試験取得の為の勉強って楽しかったり燃えたりします。
本当に、生きてる間ずっと学びなのでしょうね。

体調を崩されてたとの事ですが、まだまだ寒暖差が激しいです。どうぞ、ご自愛くださいね( *´艸`)

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