ノースライト

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本棚登録 : 1290
レビュー : 143
著者 :
しのさん ミステリー   読み終わった 

一級建築士の青瀬は、信濃追分へ車を走らせていた。
望まれて設計した新築の家。
施主の一家も、新しい自宅を前に、あんなに喜んでいたのに……。
Y邸は無人だった。そこに越してきたはずの家族の姿はなく、
電話機以外に家具もない。
ただ一つ、浅間山を望むように置かれた古ぼけた「タウトの椅子」を除けば……。
このY邸でいったい何が起きたのか?

一家はどこへ消えたのか?
空虚な家になぜ一脚の椅子だけが残されていたのか?


一級建築士の清瀬は、バブル崩壊により仕事のあぶれ、
お酒に溺れ、妻と娘は家を出て行った。
一度建築家として死んだようになっていた。
意地とプライドや苦悩と嫉妬が交錯します。
今の事務所に誘われ、施主に請われ「自分が住みたいと思う家を建てて欲しい」
との依頼で、全力を傾け自分の全てを注ぎ込んで完成したY邸。
建築雑誌にも取り上げられるほど高い評価を受けていた。
青瀬の代表作と言っても過言ではない建物となった。
ある人の誰も住んでいないみたい…という言葉が気になって行ってみると、
電話機以外に家具もない。
空っぽの家に古ぼけた「タウトの椅子」だけが残されていた。
施主一家に一体何が起こったのか?
置かれていた椅子は本物のタウトの椅子なのか?
青瀬は謎を追う事にするーー。

私は建築の事に全く知識がなく、日本に数年亡命していた
高名な建築家ブルーノ・タウトの事も全く存じ上げなかった。
中盤熱く深く長く語られるタウト。
ちょっと長すぎるなぁって感じた。

誘拐事件の捜査を巡る警察小説「64」は圧倒的な傑作だったと思っています。
それから6年ぶりの新刊本。待っていました。
動の「64」に比べると静の「ノースライト」と感じました。
殺人事件も起こらないけれど、大きな謎があり
人間描写が相変わらずとても緻密で、
大きく激しい人間ドラマが描かれていた。
青瀬の生い立ちや、成育環境、過去のお話。
離婚した家族の話等引き込まれました。
青瀬の再生物語でもありました。

最後は怒涛の展開です。
心がジワジワ温かくなり、
目の奥もじんわりと熱くなりました。
読後感のとっても良い本でした。
横山さんらしくない、でもやはり横山さんらしさを感じる。
力を感じる素晴らしい作品でした(*´ `*)

巻末の参考文献の多さにとても驚かされました。
それだけしっかりと深く調べて書かれているのですね。
だからタウトのシーンとか長く感じてしまったのか…。

レビュー投稿日
2019年5月12日
読了日
2019年5月12日
本棚登録日
2019年5月11日
9
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