人生に、敗者復活戦はあるのだろうか…。
かつてタチバナ・コウキとして世界の秘境を旅するテレビ番組で、
一躍脚光を浴びた、「ネイチャリング・フォトグラファー」の立花浩樹。
しかし、バブルが終焉し、全てが変わってしまった。
仕事を回してくれる人はいない。恋人は去り、払い終えていない
豪奢な調度品の支払いに追われる日々が続いた。
そして最後に社長が事務所に多額の負債を残し自己破産をした。
負債はすべて連帯保証人であるタチバナ・コウキにかかり、
身体一つで逃げるように田舎に帰り、それからの15年間は、
昼も夜も働き借金を返すためだけに生きてきた。
必死に完済し、気付けは四十代…。夢も恋人何もない…。
返済が終わり、ほっとしたのだが、昼間の職場が閉鎖し昼間の職を失った。
そのかわり、一ヶ月前からパチンコを覚えた。
足を骨折し、入院している母の隣のベットの静江さんと母は友人になっていた。
その静江さんに写真を撮ってほしいと頼まれた立花は、
ずっと忘れていた写真を撮る喜びを思い出す。
もう一度やり直そうと上京して住み始めたシェアハウスには、
同じように人生に敗れた者たちが集まる…。
本当のところは、人生に勝ち負けはなく勝者も敗者もないと思ってます。
何の苦労もなく自分の思う様に、ずっと生きていける人もいるかと思いますが、
殆どの人が、自分が望んだ方向に進めなかったり、躓いたりってあると思います。
この本は、そんな今はちょっと、ついてない状況にいる人々を優しく描いています。
派手な展開はないし、不器用な登場人物達だけど、
寄り添える仲間がいるというのは、大切だなぁ。大きいなぁって思いました。
たとえ、思う様にいかない局面に立ったとしても、
今はちょと、ついてないだけ。そう思えるだろうって思えました。
少しずつでも足掻いても、ほんの少しずつでも前に進んで行こう!
温かさと前を向いて生きる大切さ。喜びを改めて感じさせてくれました。
ほっこり胸が温かくなり、涙が零れました。
- 感想投稿日 : 2016年4月20日
- 読了日 : 2016年4月20日
- 本棚登録日 : 2016年4月16日
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