ワクチンX(エックス)

著者 :
  • 実業之日本社 (2015年9月4日発売)
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20××年〝夢のワクチン〟が、突然生産不可能に…。
「人生を変えたい」と願う人々にとって必需品だったが、
ある日突然、原料の微生物RXが死滅する。
原因は不明ー。
接種者が、パニックに陥る可能性がある…。


加藤翔子は、20年前ワクチン製造会社ブリッジを起こし、
会社は大きな成長を遂げた。
ブリッジが製造するワクチンは「人生を変えたい」と願う人間にとって
必需品「性格補強ワクチン」だった。
「工夫力」・「発想力」・「配慮力」・「協調性」・「落ち着き」
「活力」・「挑戦力」・「機動力」・「応用力」・「粘り強さ」
「柔軟性」・「責任感」・「感受性」・「優しさ」・「瞬発力」
「心の強さ」・「自己肯定力」・「鈍感力」・「冷静力」・「決断力」
二十種類の中から加えたいものを選び、トータルで十セットまで入れる事が出来る。
ある日突然、原因不明で原材料が死に始める。
ワクチンの効果は20年で切れる為、このままだと接種者がパニックに陥る可能性がある。
誰よりもそれを恐れたのは、ワクチン接種第一号である翔子だったー。

最初は、脳の神経細胞に働きかける微生物を原料とした性格を変更できるワクチン。
奇抜な未来であろう設定に、んーーって、思いながら読み始めました(,, ´ ・・` ,,)
ワクチンが作れなくなって、ヒステリックになったり、ワクチンだと偽って
栄養剤を販売する翔子の姿も嫌なものでした。
会社が大変な時に子供二人と社長の秘書だった女性を連れて海外へ高飛びした夫にも(。Ì _ í。)

十名のワクチン接種者を追跡調査している臨床心理士による、モニター達の分析。
最初は、ワクチン接種により人生がとても素晴らしいものとなったかが描かれていましたが、
ワクチンが切れかかったモニター達の心の変化や姿。
ワクチン期限に到達した後再接種するのか…どう考えるのか…?
どんな人間になりたいのか、それを突き詰めていった先に何があるのか…?

これまでの二十年、これからの二十年を考えて出した翔子の答え。
責任の取り方は、素晴らしかった。
奇抜な設定ですが、成りたい自分とは?自分とは何か?幸福とは何か?
そういうものの、捉え方を考えさせてくれる作品でした(*´∇`*)
二十の項目を見た時、自分だったら何を入れるのだろう…って考えた。
でも、短所も別の角度から見ると長所だし…入れないなぁって思った。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: SF
感想投稿日 : 2016年3月3日
読了日 : 2016年1月21日
本棚登録日 : 2016年3月3日

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