国際マグロ裁判 (岩波新書)

  • 岩波書店 (2002年10月18日発売)
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高級マグロとされるミナミマグロに関する、豪州ニュージーランドと日本の紛争。その紛争によって引き起こされた裁判の経緯と背景について。

当事者の方の書下ろしなので、臨場感もあっておもしろかったが、何分当事者の熱い思いが入りすぎていて、少し興覚めな部分も。

アメリカの水爆実験から漁場が高緯度に変わりそこで発見されたクロマグロに次ぐミナミマグロ。発見当時のミナミマグロの資源量、処女資源から乱獲され、相当数量が減った。ワシントン条約会議で絶滅危惧種に認定される気運が高まるが、認定されれば漁獲することができなくなるので、日本が地域漁業管理機関での管理が適切になされるものにはワシントン条約は介入すべきではないと主張。

その結果、オーストラリア、ニュージーランド、日本の3国で「みなみまぐろ保存委員会」を設立し、ミナミマグロ条約の締結を急いだ。

絶滅危惧種に認定されることを防ぐ目的で締結した条約であったが、豪州ニュージーランドと日本のスタンスが決定に違った。

日本は適切な管理をし資源量は回復し漁獲量を上げることは可能というスタンスに対し、豪州ニュージーランドは動物愛護の観点や漁獲量が増えてミナミマグロの単価下落の危機感で、一向に話が進まない・何も決まらない委員会となってしまった。

利害が一致しない集団同士では何も決まらないということは自明だが、その集団が国というスケールまで大きくなると、もはや手がつけられない。

国際裁判で決着がついたが、まれなケースなのかもしれない。竹島も国際裁判で決着を着けるべきだといわれるが、それも難しい理由が本書を読んで何となく分かる。

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クロマグロ Nouthern Blue tuna
ミナミマグロ
→刺身、寿司用の高級マグロ

メバチマグロ Bigeye tuna
→刺身用だが、料亭などではなくスーパーで刺身用と売られている

キハダマグロ Yellow tuna
→ピンク色の肉食。これ回転すしで回ってるやつかな。。

ビンナガマグロ
→白身のマグロ。脂がのっている部分は「ビントロ」。これも回転寿司かー

マグロの種類にはそこそこ詳しくなりました☆

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 教養(科学)
感想投稿日 : 2013年4月26日
読了日 : 2013年4月26日
本棚登録日 : 2013年4月26日

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