文庫版 姑獲鳥の夏 (講談社文庫)

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レビュー : 1521
著者 :
pikarin777さん  未設定  未設定

京極夏彦氏のデビュー作品「姑獲鳥の夏」を読了。
先日京極氏の作品「虚言少年」を読んだ後、京極堂シリーズを読んでみようと思い、どうせなら一番最初の作品でと読み始めたのが本作品だ。

 手に取った瞬間にページ数が多く、これは読み通すのが大変な本ではとその時は思った。確かに読み始めた最初の100ページ強でこの小説の語り部となる関口君とかれが敬愛する京極堂の二人が実存という哲学的テーマに関して延々とやり取りを続ける下りでは、こりゃどんな話なんだいという疑念が浮かび始め、本書を選んだのは失敗だったかなあなどという気持ちを少しばかり持ち始めたのは正直なところだ。

 ただ「虚言少年」でもいかんなく発揮されていた会話の中に盛り込まれる京極夏彦氏の軽妙なギャグセンスを楽しむことができる人はどんどんんと話しに引き込まれ,事件の解決まで一気に読み進むことができるだろう。もしかしたら京極作品を楽しめる否かは無駄な言葉の羅列とも受け取れるくだらない会話が楽しめるかどうかかもしれない。

 実はくだらない言葉遊びにちかい最初の100ページのやり取りがが事件解決の大事な伏線となっていて、事件解決自体はなーんだというくらいとてもとてもシンプルに実行されてしまう。複雑でわかりにくい事象も見方を変え冷静にきちんと整理すると、本当に実存するものとしないものが明確にわかるはずということが読者に伝えられる最後となっているのだが、最初から最後までどたばたとただ動き回っている印象の強いダメキャラの関口君の存在が教訓めいたお話の締めもこんなんもありかといった思いにさせてくれた。

 さてこのシリーズを読み進めたいかと聞かれたら、まあそのうち読むものに悩んだときといまは答えるだろう。僕自身としてはそこまではまらなかったのかもしれない。ただはまった人がいるからこそ『姑獲鳥の夏』『魍魎の匣』『狂骨の夢』そして『鉄鼠の檻』という600Pを超える作品が存在しているわけで、ちょっと古めいた探偵物語が好きな人にはチャレンジしがいのある作品だろう。

 そんな京極夏彦氏の伝説的なデビュー作を読むBGMに選んだのが精神科医でありでありジャズピアニストでもあるDenny Zeitlinの"Denny Zeitlin live at the Trident"だ。やはりちょっと理屈っぽいサウンドだなあ。
https://www.youtube.com/watch?v=bLEEFvxLFOU

レビュー投稿日
2017年11月15日
本棚登録日
2017年10月3日
3
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