国銅 上

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  • 新潮社 (2003年6月1日発売)
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【国銅 上】 箒木蓬生さん

長門周防地方「奈良登り」の榧葉山で取れる銅は秀逸である。

穿子により掘り出された岩は釜屋に運ばれ大火で燃やされ
焼ハクとなる。その焼ハクは吹屋で棹銅に生成される。
その棹銅はやがて貨幣や鋳物に生まれ変わるのだ。

国人はココで人足として課役についていた。

入って一年目が過ぎた頃、奈良登りに国司の使いが来、
慮舎那仏像立の詔(るしゃなぶつぞうりゅうのみことのり)を
告げて帰った。

天使さまが、都に大きな仏像を造ることを発願したものだ。

その仏像の建立のため、国中から銅が集められており、
奈良登りも人足を増やし今まで以上の銅を納めなければならなくなった。

国人が穿子として切口の中に入り、鎚と鏨とを使い岩を剥がす作業
に明け暮れていた時であった。

やがて国人は釜屋、吹屋と棹銅を作る全ての役場を経験する。

国人は課役の合間をぬい、榧葉山に住み着いている僧の景信から
「字」や「薬草」の見分け方や作りかたを教わっていた。

国人が課役について4年経った頃、奈良登りに都からの使者が来た。

大仏建立につき、棹銅の扱いに詳しい人足を数名、都へ送れという
内容であった。

国人以下数名がは棟梁から都行きを命じられた。

都へ行くには、川を下り海を越え一月以上もの月日がかかる道中であった。



苦役にも不満も言わず服し、様々な経験を積んでいく国人
その間には、事故で兄と朋輩の黒虫を亡くすという辛い経験もしている。

都行きの道中も平穏ではない。。

様々な苦労とともに、その苦労と同じ分だけの知識と体力を
つけていく国人。。

物語は、これから大仏作りの本題に入っていくのだと思う。

今現在、実際に見ることの出来る大仏が出来上がるまで、当時
どれぐらいの時間がかかり、どれだけの人が亡くなったのか
そんなコトに思いを馳せる物語です。

下巻へ続く・・なんちゃって。(^^)v

 

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 箒木蓬生
感想投稿日 : 2011年2月20日
読了日 : 2011年2月20日
本棚登録日 : 2011年2月20日

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