「神話」の崩壊 関東軍の野望と破綻

  • 文藝春秋 (1988年12月15日発売)
本で見る
3.00
  • (0)
  • (0)
  • (2)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 11
感想 : 1
3

【「神話」の崩壊】 五味川純平さん

中国残留孤児の報道は、平和に馴れた日本人に戦争の悲惨さをあらためて喚起させるが、その多くは満州の開拓居留民の子女達である。本書の著者・五味川純平氏も満州生まれの満州育ちで、「無敵関東軍」の神話が作られた背景の中で青春期を迎え、かつまた1兵士として戦い、その崩壊までを目撃した貴重な歴史の証人である。かつて精強無比と謳われた関東軍は、なぜ居留民を見捨てて敗走したのか―。満州の広野に野望を抱いた軍団の誕生から終焉までを克明に綴る。
(Amazon:商品の説明より・・)



当時の満州は蒋介石や、張作霖、張学良などが中国内部で覇権争いをしており外敵に対して国として一つにまとまっていなかった。
関東軍はその争いを利用し、満州での権益を確保するため、陰謀をめぐらせたり、はたまた開戦の発端を開くためにしきりに挑発行動をとったりしていた。そして、満州事変が勃発し、それが日本が大きな痛手を被った太平洋戦争への引き金になる。

軍部の上級士官さえ、勝利に疑問を持っていた太平洋戦争に踏み込んでいった日本の軍隊。動き出した歯車は止めることが出来ず、不安を解消するために精神論に頼るしかなくなる。争いの火種は小さくても、一度燃え上がると安易に消すことが出来なくなるのが戦争。そして、きっかけは案外些細なことから始まる。国の舵を取る人には思慮と決断力と責任感を持って欲しい。。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 五味川純平
感想投稿日 : 2012年9月26日
読了日 : 2012年9月26日
本棚登録日 : 2012年9月26日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする