「永遠についての証明」と同じく、勉強のためにこの作家を読もうとか、他の人が読んでいたからとかではなく、純粋に自分のための読書で良書に巡り会えた感じがする。
連作短編集で、小学校か高校、または大学生が舞台になっている。例えば1つ目と2つ目の短編は同じ高校の同じクラスの話であって、登場人物も共有されている。2つ目の「怒る泣く笑う女子」の主人公の弟が最後の短編の主人公になっている。それぞれでも読めるのだろうけど、全て順に読むとより楽しめる気がした。
最初は、主人公が感じている内容を書きすぎ(説明しすぎ)ているようにも感じた。でもこの本はたぶん、ここに登場するのと同じ高校生くらいの読者を想定しているのではないかとも思う。今大人な自分がするような思考法を高校生の時にとっていたかというと、そうではないのと同じように、作者が、高校生くらいの主人公たちの視点に立って描いているため、今の自分の立場で読むともどかしかったりする場面もあるのかもしれない。
この本に出てくるのは、「黒いぐるぐるみたいなものを体にためちゃう人」で、そういう人ほど「根が優しかったり繊細」であるような人たち(最終話)。両親が離婚していたり、家庭に問題があったり、性同一障害だったりとか、ちょっとぞっとするようなストーカー気質?の主人公とか、特殊なケースが多いな、とも思ったが、屈託がある状態でしか生きていけないようなものを抱えている人たちをうまく描けていると思った。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2019年3月10日
- 読了日 : 2019年3月10日
- 本棚登録日 : 2019年3月10日
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