日本人はなぜ戦争へと向かったのか: 外交・陸軍編 (新潮文庫)

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pinkchouさん  未設定  読み終わった 

関心がないように見えても、個々人が歴史観をそれぞれ持っており、他者との間でそれについて議論したりはおろかお互いに披瀝したりもしないのが通常である。
要はセンシティブなものであるから、特に近現代史については、軽々に口にしないのが利口である。以下は個人の感想であって真実それ以上のものではない。

・当時の日本にはリーダーもなく、大局観もなく、悪循環に陥っていた。
・満州事変から日中戦争に至るまでに政党政治が破綻し、それが藩閥政治、元老に代わって担うはずであった、外交・軍事を一元化する意思決定の仕組みは確立できなかった。
・満州事変をきっかけに独断専行、下剋上的風潮に歯止めがかからなくなった、現地軍の規律違反をきっちり処罰できなかった、などといった点は以前から読んでいた本にも繰り返し述べられている。
・しかし、本書で独特だと思ったのは、慶應の菊澤先生の経済コスト的観点から軍人の行動を説明するという箇所だった。現地軍にとってはあくまでコスト面で合理的選択を行なっているにも関わらず、社会全体から見て非効率的、非合理的結果になってしまう。これは現代の大企業でも代理人関係において起こりうる現象であるとしている。中央と現地で同じ人物でも態度を変えてしまうのもリスクテイクする人間の心理的側面から説明していて興味深かった。
・つまり、ただ当時の軍人たちの見方が甘いとか、単に判断力に乏しいからとかではなく、彼らは合理的知性的に判断した(つもり)であってもなお失敗してしまったということが読み取れて興味深かった。
・また、戸部教授の軍事VS軍政の二元的意思決定方法の過ちについての記載もあった。

レビュー投稿日
2019年3月1日
読了日
2019年3月1日
本棚登録日
2019年3月1日
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