主に「豊穣の海」論(平野啓一郎)、「面影」(尾崎世界観)を読んだ。
「面影」は、久しぶりに小説を読んだ気がし、面白く読んだ。言う、行くなどのダブルミーニングを、語り手を子どもにすることでうまく表していると感じた。他にも五感をシャッフルするような表現が多く出てくる。よく考えると何か救いがある訳でもないのかもしれない、また少し短いのかもしれないけど、子どもの独特の感性をかなり活き活きと表現しつつ、母と子の異様で哀しいけれど一種ひたむきな関係性を感じた。
「面影」は再読を要す。
1/19再読
やっぱり面白い。作品全体がまとまり、テンポが良い。子どもの感性のみずみずしさ、生々しさのリアルな感覚がある。一方で、書評にあったように、「作者」による語り手の利用、つまり書きたいことを書くために駒のように使っている感じが出すぎている、そんな指摘もある。けれど読んでいる最中はあまり感じなかった。芥川賞っぽい作風ではある気がする。他の作品はこの際あまり関係ないけれど、著者の他の小説も読んで見たいと思った。
平野啓一郎さんの論文の詳細は次号に書くが、第1回では、三島文学におけるシンメトリーの構造を何種類かに分けて論じていた。またそこから派生し、三島の文化論では、各時代において、それぞれ特色的に表れてくるところの文化と、それらに共通する基盤的な土台、不変の底流するものとを区別し、前者を重要視していたことを示す。また、バタイユとの関係など。
自分なりの理解であり間違っているかにしれないが、メモとして記す。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2020年12月24日
- 読了日 : 2020年12月24日
- 本棚登録日 : 2020年12月24日
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