原題は"The Piano Tuner(ピアノ調律師)"です。これはペーパーバックから先に読みました。もたもたしているうちに訳書が出てショック!しかも邦題が邦題なので、微妙にネタばれ(ロマンチックでいいけれど:笑)。
大英帝国華やかなりし時代が舞台です。ロンドンでエラールというブランドのピアノの調律を請け負う主人公のもとに、ある依頼が届きます。「英領ビルマにあるエラールの調律をしてほしい」という、とんでもない依頼。しかも、依頼人は軍の中ではいわくつきの人物(優秀で風流を解するけど)。主人公は迷うのですが、最終的にはひとりビルマへ…と物語は進みます。
大海原を渡って英領ビルマの奥地(タイ・中国国境のあたり)へ…という物語はなかなか心躍るものなのだろう…と思うのですが、ビルマへ着くまでの前半の流れはいいにせよ、後半がよくないように思います。これは読んだ私が東洋人だからかなぁと思います。ビルマってイギリス人(著者はアメリカ人だからこっちも入れて)が考えているよりも距離は遠くないように感じるし、風俗もそんなにエキゾチックに感じない。鍵となる女性も、穏やかでミステリアスなキャラクターが西洋人的に、東洋人女性のステロタイプというか…ちょっと興ざめな感じがぬぐえませんでした。結末はどうなのかなぁ…翻訳に助けられているような気がします。作品の静かな雰囲気は好きなんですけど。
ちょっと期待しすぎて外してしまった感があるので、この☆の数です。ごめんなさい。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
ひっそりと静かな本
- 感想投稿日 : 2008年5月19日
- 読了日 : 2008年5月19日
- 本棚登録日 : 2008年5月19日
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