夜よりも大きい (真夜中BOOKS)

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本棚登録 : 72
レビュー : 5
著者 :
Pipo@ひねもす縁側さん ひっそりと静かな本   読み終わった 

『季刊 真夜中』という文芸誌の書籍紹介で手に取りました。ちょうど、小野正嗣さんの作品が気になっていたタイミングだったこともあって。

『真夜中』がアートディレクションに凝った雑誌なので、この本も、さりげなく凝った装丁。カバーイラストのイメージから、夜をモチーフにした可愛いめのファンタジーなのかな?と単純に思っていましたが…読んでいくうちに、漠然とだけど「怖い」という感じが強くなってきます。真夜中の暗い森や養殖池、フェンスの向こうといった場所は、「絶対あっちへ行っちゃいけないよ」と大人にきつく言われてるところ。でもいったん、「あっちには、大人の隠してる何かがあるんだ」と駆け出してしまうと、気がついたときには遠くまで来てしまっている…という感じに満ちている。章立ても、次に何が出てくるかを読ませなくて、不安をいっそうあおる感じです。

仏語ふうの長めのセンテンスで、舞台と登場人物の心情が説明され、それがぐるぐる回って混沌として、どこがどうなんだかわからなくなってくる感じ。正直、1度読んだだけではよくわからないことも多くて、何回も行きつ戻りつしました。ミステリのように、「すべては合理的に解決される」という明晰な流れではないし。でも、登場人物の恐れや混乱ややるせなさがごっちゃになって膨らんでいく感触や、「ああ…」と思うような厳しい状況で立ちすくんだり、来るべき「何か」を待ってる感触は、決してわかりやすくないけど、なんだか忘れたくはないような。

うーん、読後感とか、うまく言い表すことができない…甘くみると結構ヘヴィ、ということだけは言えるかも。単純な面白さではないけど、このぎゅっと濃密な感じは結構くる本だと思うので、この☆の数。

-----[2010.10.29 未読リストアップ時のコメント]-----

『季刊 真夜中』の書籍紹介で気になった本。ちょっと不気味な、でもファンタジックな雰囲気の装画が素敵。それに、「真夜中ブックス」ってレーベル名も、いいじゃないですか(笑)。小野さんの『浦からマグノリアの庭へ』を読みたい、でもちょっと高い…と迷っていたところだから、どうしようかな。

レビュー投稿日
2010年10月25日
読了日
2011年5月2日
本棚登録日
2010年10月25日
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