幕末維新懐古談 (岩波文庫)

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レビュー : 7
著者 :
pironasさん  未設定  読み終わった 

日本が江戸時代から明治時代に転換する時代に生きた、高村光雲という彫刻家の回顧録です。この時代って本当に日本が大きく動いた時代で、すごく劇的な事件とか、映画や小説になったようなシーンが数多くあったと思うのですが、光雲さんが語るのは「世の中が何か動いているなあ」と思いながら、そこそこに平凡な激動を生きた市井の物語です。この時代、スポットをあてるならあてるべき事件がたくさんある。そんな中、ここに当てたかー!という感じの本です。
東京の、行ったこともある知っている地名がたくさん出てくるけれど、描写されている町の風景はちっとも知っているものと一致せず、想像もつかない。たかだか100年ちょっとで、東京はこんなに変わったのだなあと、驚きます。でも上野に美術館がある理由が少し分かった気がして、時代のつながりも感じました。
『ところが、その博覧会というものが、まだ一般その頃の社会に何んのことかサッパリ様子が分からない。実にそれはおかしいほど分からんのである。今日ではまたおかしい位に知れ渡っているのであるが、当時はさらに何んのことか意味が分からん』というくだりで笑ってしまったのですが、読んでいる私もまた、光雲さんが当然のように出してくる「かっぽれの小屋」だの「毛抜き屋」だのが何のことだか分からないのです。100年後には私が当たり前に使っている言葉も、分からなくなるのだろうなあ、と思いました。カセットテープとか、ポケベルとかね。
私はアートのことはよく分かりませんが、光雲さんの彫ったものは直接この目で見てみたいと思いました。大勢の著名な芸術家も登場したので、今後日本の美術を鑑賞する機会があれば、また違った視点で楽しめる気がします。

レビュー投稿日
2013年12月6日
読了日
2013年12月6日
本棚登録日
2013年12月2日
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