世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)

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レビュー : 1079
著者 :
piyopiyo27さん 小説   読み終わった 

村上春樹版不思議の国のアリスって、まさに。

こんな突拍子もない世界を、本当にあるかのごとき細かな描写で描ける春樹さんに脱帽。
現実逃避通り越して違う世界いっちゃった感がやばい。

静と動、という感じで二つの物語が繰り返し紡がれていくのだけど、
どちらの世界も好き。
最初に読んだ時は、世界の終わりの方がなんというか退屈で途中であきらめてしまったのだけど、
今は案外サクサクと読み進められています。

太ったショッキングピンクのスーツの女の子の、メロンの匂いのする首すじが好き。

博士がサンドウィッチを食べる時の描写が好き。

世界の終わりの女の子のコートの色が好き。
(ひきちぎられた空の切れはしが長い時間をかけてその本来の記憶を失くしてしまったようなくすんだ青)


自分の備忘録的に、気になった個所をいくつか。


世界とは凝縮された可能性でつくりあげられたコーヒー・テーブルなのだ。(ハードボイルド・ワンダーランド)
※この例えすばらしく最高!

角笛の響きはほかのどのような音の響きとも違っていた。
それはほのかな青味を帯びた透明な魚のように暮れなずむ街路をひっそりと通り抜け、
舗道丸石や家々の石壁や川沿いの道に並んだ石垣をその響きでひたしていった。(世界の終わり)
※この描写が一番美しく、一番すんなりと想像できた。

「いつもお母さんが言っていたわ。
疲れは体を支配するかもしれないけれど、心は自分のものにしておきなさいってね。」(世界の終わり)
※しんどくなったらいつも心の中で唱えることば。

人の性向というものはおおよそ二十五までに決まってしまい、そのあとはどれだけ努力したところでその本質を変更することはできない。
問題は外的世界がその性向に対してどのように反応するかということにしぼられてくるのだ。(ハードボイルド・ワンダーランド)

『心というのはもっと深く、もっと強いものだ。そしてもっと矛盾したものだ。』(世界の終わり)

「最後には何もかもがよくわからなくなるのだ。
いろんな色に塗りわけたコマをまわすのと同じことでね、
回転が速くなればなるほど区分が不明確になって、結局は混沌に至る。」(ハードボイルド・ワンダーランド)

人間のあるひとつの行為と、それとは逆の立場にある行為とのあいだには、
本来ある種の有効的な差異が存在するのであり、その差異がなくなってしまえば、
その行為Aと行為Bを隔てる壁も自動的に消滅してしまうのだ。(ハードボイルド・ワンダーランド)

レビュー投稿日
2013年3月28日
読了日
2013年3月28日
本棚登録日
2013年3月28日
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