聖マリアナ学園という伝統ある女の園を舞台にしたファンタジー。桜庭一樹さんは、駄目な本は徹底的に駄目なんだけど本著は楽しんで読めた。
現実におこった出来事を少しずつ織りまぜつつ、カトリックの名門女子校の創始の時〜百年後のとある区切りまでの5つの珍事を取り上げている。フィクション作品の描く女の園というと一種のファンタジーでしかないけど、本著はその中でも抜きん出てファンタジー。学園の創始者マリアナが生きている内に列聖されたらしいという点には、さすがに「おい!」って思った。
この女の園の高等部では毎年「王子」という所謂クイーンを決めるのだけど、大体はその王子選出にまつわる物語でした。王子選出に一波乱あって、でもその不祥事は学園の正史からは消されてしまう。抹消された真実を、書き残す者がいて、それが読書倶楽部。そして実は不思議な騒動の原因は読書倶楽部にあったりもするわけです。
女の園の表舞台で活躍しているのは生徒会と演劇部の家柄や美貌を持つ少女達で、読書倶楽部は学園のはみ出し者の集まりなのだけど、そっと暗躍してたまに一波乱をおこしたりもする。そして学園の真実に明るいのも彼女達。ぷんぷん漂ってくる浪漫の香り^^
読書倶楽部というだけあって、彼女達は基本読書家だし、珍事件は『シラノ・ド・ベルジュラック』『マクベス』『秘文字』『紅はこべ』のストーリーをなぞっているけれど、別に本に詳しくなくても楽しめると思う。わたしも『シラノ~』と『マクベス』しか知らなかったし……
古き良き少女漫画みたいで、オススメ◎
- 感想投稿日 : 2011年8月1日
- 読了日 : 2011年8月1日
- 本棚登録日 : 2011年7月31日
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