サイコロジカル(下) 曳かれ者の小唄 (講談社ノベルス)

3.49
  • (386)
  • (438)
  • (1525)
  • (28)
  • (3)
本棚登録 : 4408
レビュー : 283
著者 :
制作 : 竹 
東雲さん  未設定  読み終わった 

 決断することが嫌いでした。何かを選ぶことが嫌いでした。他人に興味が持てませんでした。自分に興味が持てませんでした。人と競うのがいやでした。人と争うのがいやでした。笑われるのがいやでした。笑うこともできませんでした。泣くこともできませんでした。楽しむことも怒ることもできませんでした。何もできませんでした。何も感じませんでした。何も手に入りませんでした。手に入らないから壊しました。手に入れたかったけれど壊しました。欲しかったから捨てました。信じたかったから背徳しました。好きだったから否定しました。守りたかったから傷つけました。心地よかったから逃げ出しました。仲良かったから孤独でした。羨ましかったから潰しました。必要なものは不必要になるまで。好きなものは嫌いになるまで。冷めている人間の振りをしました。達観している人間の振りをしました。悟ったような人間の振りをしました。賢い人間の振りをしました。道化な人間の振りをしました。人間の振りをしました。自分以外の誰かの真似をしました。自分以外の誰かの真似ができませんでした。自分以外の誰かに憧れました。自分が嫌いでした。自分を好きになろうとしました。自分以外の誰かを好きになろうとしました。自分以外の誰かを愛そうとしました。自分以外の誰かを愛せませんでした。自分を愛せませんでした。愛し方も愛され方も平等に分かりませんでした。だから逃げました。だけど逃げられませんでした。どこからも。誰からも。
 生きてることは、つらかったです。
(P.199)

レビュー投稿日
2016年5月8日
読了日
2016年4月5日
本棚登録日
2016年4月5日
0
ツイートする
このエントリーをはてなブックマークに追加

『サイコロジカル(下) 曳かれ者の小唄 (...』のレビューをもっとみる

『サイコロジカル(下) 曳かれ者の小唄 (講談社ノベルス)』のレビューへのコメント

まだコメントはありません。

コメントをする場合は、ログインしてください。
ツイートする