夜行

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本棚登録 : 3761
レビュー : 528
著者 :
polkapolkaさん  未設定  読み終わった 

失踪ものというか、神隠し系のお話が大好きです。
世界の儚さで胸がドキドキします。

十年ぶりに集った、学生時代の友人五人。彼らが十年前に見物に行った鞍馬の火祭りで、長谷川さんは姿を消した。
「私」が昼間に見た長谷川さんの幻を皮切りに、四人はそれぞれ、旅先での体験を語り出す。
それらは一貫して「夜行」という連作の銅版画で繋がった、奇妙な物語だった。

予想以上に背筋の寒くなるホラーテイストな内容で驚きました。でも読む手の止まらない素晴らしさ。
絵の中でこちらに手を振る顔のない女、なんの前触れもなくいなくなる仲間たち、闇の奥でうごめく得体の知れないもの、終わらないかに思えるような夜……暑い夏にぴったりです。
永遠の夜と一度だけの朝の対比は鮮明で、恐ろしいのに、爽やかな読後感でした。
丁寧な描写の反復や改変によって、色々な登場人物の心が重なっていく感じが素敵です。川端康成や西行法師の引用も印象的でした。
最後まで読めば、各人の話は「帰ってこれなくなった」可能性の物語だと分かりますが、はじめは次の話に進むたび「だれか突っ込んでよ!」という気分でした。
特に良かったのは尾道、津軽、鞍馬です。
すべて気味の悪い体験なのに、不思議と旅行したくなりました。夜行列車はやっぱりロマン満載ですね。

レビュー投稿日
2018年8月12日
読了日
2018年8月12日
本棚登録日
2018年8月12日
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