裏庭 (新潮文庫)

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本棚登録 : 6704
レビュー : 756
著者 :
lackyさん  未設定  読みたい 

梨木さんの作品は物語の中の登場人物と一緒に不思議な体験ができる感覚。特に本作品は、主人公の女の子「照美」が生死の境を彷徨うような壮絶な体験をし、それを一緒に見守るかのような読書体験でした。

照美が迷い込んだ鏡の中の裏庭の世界は、ファンタスティックでどこかディストピアな感じ。RPGのような世界観でした。登場人物はどれも象徴的で、逃げるおかっぱの少女や、おばば、庭師と呼ばれる少年、一つ目の龍、邪悪なトカゲなど、現実世界の写しと想像させるものばかりでした。

何が何を表していたのか、全てがはっきり分かるように描かれているわけではないけど、それらと向き合うことで、照美が、自分や他人の心の傷を見つめ、受け入れる強さなどを身につけて一回り成長したということがよく分かりました。

心の傷からは、逃げても誤魔化してもいけない。全てが真実だから受け行けるしかない。あらゆる命の積み重ねの上に、醜い自分も優しい自分もいる。そこに自分なりの世界を新たに作っていくしかない。

レビュー投稿日
2019年3月24日
本棚登録日
2018年6月26日
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