母と娘の関係は難しいと言われる。
母娘に限らず、肉親には、共に過ごした時間と、良くも悪くも、深い愛情や期待がある。
簡単に好いたり嫌ったりできるものではない。親子とて他人だと分かっているけど、そうそう割り切れるものではない。
著者も幼い頃から母親に虐待まがいの扱いを受け続け、母親が認知症を患うまてでは母親を嫌う気持ちを抱き続けていた。
一方で、家族の記憶を反芻する中で、激動の時代を力強く生きて、物理的に家族を支え続けてきた母親への尊敬と同情の念を抱いていることも再認識する。
ときに同じシーンの記憶を二度三度と繰り返し思い返しながら、許せない気持ちと許したい気持ちを行ったり来たりするのはとてもリアルだった。
そして最後のベットで、ごめんなさいを伝えあう場面は思わず涙が出そうになった。
認知症の影響とはいえ、心を溶かした状態で母の死を迎えられたのはとても幸福なことなんじゃないだろうか。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2022年2月11日
- 読了日 : 2022年2月11日
- 本棚登録日 : 2021年5月11日
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