輝く時間こそ短いが,宇宙のすべての星を合わせた明るさに匹敵する超高エネルギーの天体現象ガンマ線バースト。本書はその専門家による解説。ガンマ線バーストに特化した啓蒙書は稀有。
地上核実験監視衛星により1967年に現象がとらえられてから,ガンマ線バーストの正体解明までには30年という長い月日がかかった。その過程では,1920年の銀河系大論争になぞらえたガンマ線バースト公開論争が行なわれ,それから程なくして少数説が実証されるというドラマチックな展開も。
長いガンマ線バーストは,重い天体が極超新星爆発して,ブラックホールを形成するときに放出する相対論的ジェットという結論。余りにも明るいために,百何十億光年彼方でも観測できることを活かして,ファーストスターを検出することも有望視されている。中性子星の連星が合体してブラックホールを作るときには,短いガンマ線バーストとともに重力波も放出されるはずで,初の重力波の観測は,ガンマ線バースターからもたらされるかも知れない。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
物理・宇宙
- 感想投稿日 : 2014年7月1日
- 読了日 : 2014年7月1日
- 本棚登録日 : 2014年4月23日
みんなの感想をみる