監獄の誕生 ― 監視と処罰

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レビュー : 46
制作 : Michel Foucault  田村 俶 
ぽんきちさん 犯罪   読み終わった 

罪と罰。その罰は本当にその罪にふさわしいのか・・・?

*冒頭から蛇足ですみません。ちょっと説明というか、言い訳です。『悪魔のささやき「オレオレ、オレ」』を読んでいて、ふと思ったのです。
オレオレ詐欺第1号グループと言われる犯罪集団にいた著者。この著者にとっては刑務所暮らしが大変堪えたことから、懲役刑は処罰として働き、また家族もよくサポートしてくれる様子なので、再犯も防止される方向に働いていると思われます。が。
拘束ってそもそも、なぜ、罪に対する罰になっているのでしょう? これって本当に妥当なのかな? 例えば「盗みをしたから閉じ込めとけ」(「悪い子は押し入れ(or土蔵)に入れるぞ!」・・・?)とかって、発想として自然なのかな? その罪に対して、その罰は過不足なく適当なものなんだろうか・・・? なんてことをつらつら考えていたら、とある記事でこの本に目が留まり、「ふむ、この本か・・・?」と思ったのです。
もう少し軽めの本にすべきだったのかもしれませんが、アマゾンでミシェル・フーコーの本の中では「わかりやすい」との評だったのでちょっと挑戦。

という前提で、閑話休題。

『監獄の誕生』、副題「監視と処罰」。
本書の主眼は主に、フランスの18世紀以降の、比較的狭い地域および比較的短いタイムスパンに置かれている。この範囲での、「監獄」というものの成り立ちに関して、膨大な文献を読み解き、深く重厚な考察を行ったものである。

18世紀半ばは「みせしめ」とも言える、過酷な刑罰が主流だった。見世物の性格もあるような、四つ裂き等の公開処罰である。冒頭はその詳細な記述であり、その苛烈さに眉をひそめずにいられない。

わずか3/4世紀後、こうした「みせしめ」刑は陰を潜め、監獄への監禁刑に変わってきている。この間に、残虐な犯罪が少なくなり、罪と刑の乖離が問題になってきたのが一因という。

監獄における監視は、集団の統率という意味では、学校の寄宿舎や軍隊などとも通じるところがある。
功利主義者ベンサム(マイケル・サンデルの著述でも出てきた)が考案したという、一望監視施設(少ない監視者が多くの非拘束者を監視できる設計の施設)は、注目を集め、大きな関心の的となり、議論の対象になったという。
こうした施設はつまり、権力者による非支配者の統率を意味することになる。

処罰という点では、監獄に入った場合、(特にかつては)一度監獄に入った者が一般的な社会生活に戻ることが困難であった。ここから、非行性(犯罪行為)を特殊なものとすること=みせしめとの共通点を見ることが可能である。平たくいえば「あいつは犯罪者」というレッテルを貼る意味があると言えようか。

ただ、禁固・拘束に関しては、最適ではないという意見も古くからあり、犯罪者を拘束するコストは社会全体が負わなかればならないという問題もきちんと解決はされていないようである。

社会が個人を裁くということ。そしてある罪にある罰を与えると決めること。
もう少し、気長に考えていこうと思う。


*頑張って読んではみたが、すみません、我ながらちょっと背伸びをしすぎました。どなたかもう少しふさわしい方の書評が読みたい・・・。

*シニフィアン・シニフィエとか、「音」でだけは覚えていて、ふんふん、学生時代にちびっと囓った(多分、フーコーじゃないと思うけど)のだな(^^;)と我ながら思ったり。

*同じくフーコーの『狂気の歴史』もタイトルだけ見るとおもしろそう、と思うけれど、この本がフーコーの中では読みやすいといわれているのだとすると、ちょっと手を出しにくいなぁ・・・(^^;)

*図書館本だったのですが、別の人の予約が入っていて延長不能。返却期限を気にしながら読むには向かない本だった。ちょっと反省。
この主題、個人的にはまだまだ宿題です。考えてナニが変わるというものでもないのでしょうが。
素人的には、現状、罪に対して妥当な罰が与えられているとはいいにくいだけに、量刑をどうするというときに、別個に定めた「きまり」や「前例」を参考にするしかなくなってしまうんじゃないかという気もします。
そういう意味では「目には目を」の方が「わかりやす」くはあるよな・・・。
次は日本の事例&もう少し軽いものを読んでみたいかなぁ。
お江戸の牢獄あたりでとっつきやすそうなものを探してみるかな・・・?

レビュー投稿日
2012年8月8日
読了日
2012年8月8日
本棚登録日
2012年7月6日
2
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