
宝探しの様な本だった。
物語は家政婦とその息子、依頼元の博士でほぼ構成される。数字と阪神タイガースという異色のキーワードで関係が築かれ、読者はその様子を淡々と観察する。物語のどんな要素も三人の関係に波風をたてないが、同じように三人の関係を明瞭に定義しない。時には家族であり、友人であり、そしてまた敬愛の対象であったり、家政婦から博士へのわずかな慕情も汲み取れたりする。
作者の意図に沿うかは別として、一つ一つの文言を拾い、目を凝らし…という時間は宝探しのようだった。静かに、楽しめた。
- レビュー投稿日
- 2019年9月4日
- 読了日
- 2019年7月4日
- 本棚登録日
- 2019年9月4日
『博士の愛した数式 (新潮文庫)』のレビューへのコメント
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