読書日数 8日
現在無職の息子が、介護老人と過ごしていく日常。そのなかで「介護するということ」と「自分とのむきあい方」みたいなものを見つけていこうとする主人公の葛藤(というか闘い)が描かれている。
とある仕事を辞めてから次の職が決まるまでの間、無職だとは言いながらも資格試験の勉強をしながら再就職の為の面接を繰り返す日々。途中に彼女とのラブホに通う日々がありながら、祖父の介護を手伝うという使命があった。
「死にたい」「寝たきりおわり」ということを毎日繰り返しつぶやく祖父。主人公は、その祖父の願いをかなえるべく、どうしたら良いのか考えた結果「過剰な介護をすることにより、人間が生きていく上で必要な能力を奪っていく」という結論に達し、それを忠実に実行に移す。
それと同時に「自分が力強く生きていくためには、とかく自分の体や筋肉を、必要以上に『破壊と再生(スクラップアンドビルド)』させなくてはいけない」ということか、急な筋トレに目覚めるようになる。自分の生に対して向き合う姿と、祖父の弱らせる為の必要以上な介護をするせいかつを続けていくことになる。
最後のオチとして、祖父は「死にたい」とは言っておきながら、生に執着していたのだということが分かり、今までの祖父と向き合っていた時間はなんだったのかという思いが込み上げてくるのだけど、祖父との介護を通じて、自分自身がどう生きていくかということを見つめられるというきっかけがあったように思う。
だからこそ、それが態度や行動に出て、無事に再就職が決まったんだと率直に思った。
筆者の介護に対する考え方や、筋トレの比喩表現の仕方に、笑えたり妙な納得感があったりと、時間はかかりながらも、割にサラッと読むことができた。
- 感想投稿日 : 2015年11月30日
- 読了日 : 2015年11月30日
- 本棚登録日 : 2015年11月30日
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