民王 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋 (2013年6月10日発売)
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読書日数 10日

今作は政治エンターテイメント。政治というものは、本来どういうものなのかを考えさせられるものであった。

民政党の武藤泰山が、念願の総理となった数日後の国会の答弁で、ドラ息子の翔と入れ替わるという被害にあう。
そこから、いろんな対応に迫られるのだが、とにかくこの息子は漢字が読めなくて、常識を知らないものから、国会の運営がボロボロになり、途方にくれるのだが、それだけでは収まらず、重要な外交の日に外務大臣もバカ息子と入れ替わり、失態を演じることもあって、どんどん支持率を下げていく。

このテロ行為(と言っていいのか?)は、きっと野党の憲民党の仕業に違いないと思っていたら、実はその党首も娘(しかも、翔の大学の同級生)と入れ替わっていた。しかも、全員歯医者で親知らずを治療していたという共通点があり、何のためにこういうことが行われたのかを解決していくのだが、それと同時に息子の就職活動をする事にもなっていく。

お互い入れ替わった事で、互いに知らなかった事を知る事ができ、また父子間で誤解があった事もわかりあえるようになり、家族の絆が深まっていくという展開は、読んでいて熱くなれるポイントでもあった。

それより、こういった難しいテーマをコメディとして書くんだという、新たな一面を垣間見る事ができたのが一番の発見だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2015年12月30日
読了日 : 2015年12月30日
本棚登録日 : 2015年12月30日

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